地球持続の技術 (岩波新書)小宮山 宏岩波書店このアイテムの詳細を見る |
1999年に書かれた本である。確か京都議定書が公表されたのがこの頃ではなかった
かと思う。地球温暖化、温室効果ガスの削減目標が各国に掲げられ、守れる、
守れないで各国の立場で議論されていたのを思い返していた。
現在の化石燃料が有限であるが、これを使うために多くの熱、CO2を発生させ
地球の温暖化を進行させている。エネルギー保存の法則をもとに現在の発電
や製造業などで発生する熱量、仕事量を効率化するための論理的な概論が
書かれている。概論と代替エネルギーの記述の部分は、簡単な化学工学の
解説っぽくて、懐かしく思えた。
日々のくらしの為のエネルギー消費、ものづくりの為のエネルギー消費、いずれも
人の生活を成り立たせるための行動と製品、提供されるエネルギーは、価値ある
ものにするために様々な行程があり、その行程では燃焼によるエネルギーが
加えられたり、発生したりでCO2を生成する。これを削減するには、製造行程
の見直しや自動車、電力など技術的に進化すると改善、効率化できるという部分
の概要を簡易的に書かれている。理解はしやすいが、あくまでも理論的な理想論
にも捉えられる。
期待される代替エネルギーは、原子力か、バイオマスなどの自然エネルギーか
決定打はないものの、現状の化石燃料を使わない方向に導くために期待したく
なるものがある。消費するエネルギー、資源は人口増加とともに加速度的に
増えるのであろうが、循環のサイクルが構築できれば、多くの資源が再利用
できるという記述は勉強になる部分が多い。
50年、100年前の人口からいまや60億を超え、今の発展途上国の生活レベルが
あがり、先進国に追いつくとすると約90億で人口は頭打ちになるという。
2050年までに残された時間は少ないが、これだけの人口が発生させるCO2を
削減するためのエネルギー資源の循環を部分的にも伸ばしていくことを
一人一人の意思として徹底されると改善の余地もあるのかと感じた。
それにしても60億以上の人口が発生させるCO2を削減するにも母数が加速度
的に伸びているので温暖化も計算上の速度よりも早く進行しそうな予感がする。