孤高のメス 外科医当麻鉄彦 第2巻 (幻冬舎文庫) | |
大鐘稔彦 | |
幻冬舎 |
第二巻を読みました。満足の行く読後感です。
主人公、当麻医師の医療に携わるぶれない姿が
重ね重ね描かれ、読み進めるに従って、正しい
事を行う人間の魅力に浸食されます。
この第2巻は、正しいことを推し進める人間と、
手を抜き、自らの面子と利権だけを考える人間
との行く末が描かれている。
人間像としては、
実力があり、正しい行為に対してぶれることない当麻医者
実力があり、正しい行為を行いながらも、奥底にもつ野心
にこだわる実川医者。
実力がなく、偽りの行いを正当化しようとする野本医師。
この三人の生き様が対象的で、面白い。
この人間像は、一人の人間の中にあるもので
正しい行為を行いたいと思う気持ち、名誉や利権に
拘らず、本質的なものが何かを捉え、実直に推し進めて
行きたいという気持ち、利己主義で相手が困ろうが
失敗を自責と捉えず、他責として、逃げる気持ち。
そういうものを、医療という命を救うという
最も難しい行為の中で描いており、強い印象を
憶える。この二巻目も人としての正しい姿とは
と考えさられる良い作品でした。