「藻原寺」と言うと、どうしてもコンクリート製の白い多宝塔式山門がクローズアップされますが、実は、仏堂や書院に近い位置には「日蓮宗本山:藻原寺」と記された「総門」があるのです。
この総門から大堂へと向かう途中に「仏殿」があり、奥には小規模ですが池泉式の庭もあります。
「仏殿」には、南北朝時代に造立された『釈迦如来座像・多宝如来座像』がお祀りされているそうですが、拝観が可能かどうかはわかりません。
更に進むと、美しいお姿の「子育て観音」。その後ろに朱塗りの「鐘楼堂」が見えてきます。 この「鐘楼堂」、貞享4年(1688)建立だそうですが、とても年代を感じさせない鮮やかさ。
『伊八』の彫刻目当てで来た私が言うのも何ですが😅・・・。「大堂」の彫刻と言えば『伊八』だけに注目が集まりますが、それ以外の彫刻も実は素晴らしいのです。 唐門の向拝の持ち送り部分、満開の梅(違うかも)の木に遊ぶ雉の一対。
そしてこれはもう定型文になりそうな「木鼻彫刻の唐獅子」、その精悍な表情に魅了されます。 阿形はわずかに口を開き、吽形はしっかりと口を閉じて、参道の参拝者を見下ろしています。
二対の木鼻の唐獅子は、見つめている視線に対して確実に静かな笑みを送り返してくれます。 それは多分、私がこの唐獅子さんに対して持った感情がそのまま返ってくるからかもしれません。
大堂の少し奥まった場所に立たれる「釈迦如来立像」は、元禄4年(1691)造立と云われています。 胴部で継ぎ合わせた像は合掌印を結んでおり、通常、説法印とする釈迦如来には珍しい印相と言えます。 丈六の丸彫立像は、市内に現存する石仏中最大のものであり、市文化財の指定を受けています。
先に紹介した総門の手前の広場に、巨大な『日蓮大聖人』の肩から上の御像が置かれています。 説明では、本堂裏山に台座を入れて高さ32メートルの『日蓮大聖人』の大銅像が建立されるとか。 諸般の事情で、当初の建立には間に合わなかった為、こうして自ら参拝客を出迎えておられます。
完成は日蓮聖人の生誕八百年にあたる、2021年を予定しているとあり、浄財を募っておられました。 こちらは十分の一の大きさですが、このお姿で裏山に立たれたら、迫力満点でしょうね。
参拝日:2019年3月9日