フィレンツェにある「ウフィツィ美術館」所蔵の『ボッティチェリ』作、「春(ラ・プリマベーラ)」。「愛と美の女神:ヴィーナス」を中心に、左に「ヘルメス・三美神」、右に「春の女神:プリマヴェーラ」、「花の女神:フローラ」・「西風:ゼフェロス」が描かれています。あまりにも有名なこの作品、きっと多くの方が何らかの形で目にしたのではないでしょうか。かく言う私も、昔、所蔵していた「ビバルディの四季」のレコードジャケットがこの「春」でした。
冒頭からいきなり国外の著名な絵画を紹介したのは、実は・・この絵を実際に見てきたからです。 と言っても、もちろんフィレンツェなどと言う、遠い異国に行った訳ではありません😊(飛行機乗れないし)
2013年3月、二つの橋を渡り徳島県に入って一番最初に訪れた「大塚国際美術館」。大塚製薬グループが創業75周年事業として1998年に開館した美術館には、西洋名画等をオリジナルと同じ大きさに複製した、陶板名画:1,000余点が展示されています。
この美術館、瀬戸内海国立公園内に立地する為、一旦山を削り取り、地下5階分の構造物を含めた巨大な建物を造ったうえで、また埋め戻すという仰天モノの難工事の末に完成。そのため、足が引きつりそうになるのを耐えて、長い、長いエスカレーターを降りて行く事になります。
最初に目にするのは、美術館のメインともいえる「システィーナ・ホール」。ローマ教皇の公邸であるバチカン宮殿にある礼拝堂の祭壇を模したもので、壁一面に展開されるのは『ミケランジェロ』「最後の審判」。
中央では再臨したイエス・キリストが死者に裁きを下し、向かって左側には天国へと昇天していく人々が、右側には地獄へと堕ちていく人々が描写されています。
「システィーナ礼拝堂」と同じ階に展示されている「スクロヴェーニ礼拝堂」。ここに描かれているのは「キリストの生涯」「聖母マリアの生涯」。
注目すべきは、キリストを処刑に追いやる裏切りの第一歩となった「ユダの接吻」の描写・・・・キリストの支持者とその敵達に囲まれた中での衝撃的な一場面です。
古代遺跡や教会等の壁画が丸ごと再現された展示もあり、その奥行きの広さはとても言葉にできない凄さ、むしろ、凄まじさといっても過言ではありません。
ちなみに館内の陶板画の写真撮影は“人物を入れた構図” という条件付で許可されており、そのため天井画以外の全ての画像には目障り😅な、二人のいずれかが付帯しています💦
だからこんなに緻密なモザイク画に、極限まで近づいて目を皿にしても、あまつさえ手を触れても、警報はなりません。これが、大塚グループのオーミ陶業株式会社の特殊技術によって作られた、陶板複製画の凄さなのです。
見苦しくなるので、できれば私たち抜きの画像の方が良いのですが、事情が事情なので😓部分的に・・「受胎告知をされるマリア」。このテーマはキリスト教にとっては非常に重要らしく、実に多くの作品が展示されていました。
何かのホラー映画の一場面??とビックリされそうですが、実はこれ絵画を収めた額の一部分。さしずめ外国版「貞子」・・・・😱
古代~中世は地下三階。地下二階と一階にはルネサンス~バロック~近代。地上一階から二階には現代に区分される作品が展示されており、その数、実に1074点。そこには、今は現存しない修復前の「レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』」もあり、とても一日で全部見て周るなど不可能。
地下、地上あわせて5階建ての館内を全て鑑賞すると、その距離は何と4kにも及ぶそうです。いくら、見飽きないとは言え、流石にお腹も空いてきました。 別館1Fまで行き、レストラン「Garden」で、揃って「鯛めしとうどんセット」を注文。鳴門の鯛とわかめが使われた定食は、好き嫌いの多すぎる私でも何とかセーフ!美味しくいただく事ができました。
腹ごしらえがすんだら、再び、あの素晴らしい作品の渦の中に突撃。まだまだ見たい作品は山のように残っているのに、時間は刻々と進みます。一度はどこかで目にした作品、それは美術の教科書であったり、何かのカタログの挿絵だったり・・未知の作品とは又違った親しさが感じられて、足を止めさせます。
初めて目にする作品は更に興味を引き、魔法にかかったようにその前から動けなくなってしまいます。
最後の方は駆け足状態でしたが、気がつくと館内からは「蛍の光」が・・・時計は閉館の5時にわずか数分前・・・残念ですが引き上げるしかありません。出口へのエスカレーターは順番待ちだったので、その時間を利用して、ミュージアムショップを覗いてみました。このぬいぐるみたち、誰が誰かわかります?😃
種々雑多なお土産品の中で一番ツボったのは、何と言ってもこの不気味な「ムンクのスクリームドール」。この「ムンクの叫び人形」、押すと叫ぶんですよ😱。
訪問日:2013年3月15日