豊岡市小田井町に鎮座される「小田井縣(おだいあがた)神社」。式内社:縣神社に比定される古社。御祭神は『國作大己貴命(おほなむちのみこと)=大国主命』。
由緒「創祀年代は不詳。大昔、この豊岡附近一帯は泥湖で、湖水が氾濫して平地のないとき、来日岳のふもとを穿ち、瀬戸の水門を切り開き、水を流し水利を治めて農業を開発されたのが國作大己貴命です。第十代崇神天皇の御代(前86)、四道将軍丹羽道主命は大神の偉徳を聞き、深くその功績を讃え、
天皇に奏上し、勅許を得て、大神を地方開拓の祖神とし、ご神霊を鎮祭したと伝えられます。」
鳥居の近くより神域を守護されるのは、皇紀2600年:昭和15年(1940)建立の岡崎現代型狛犬さん一対。後に某国より大量生産されて興味を失ってしまった岡崎型ですが、この頃の狛犬さんには威厳も力強さも十分備わっています。
入り口鳥居を潜るとやや広めの参道が続き、突き当たり左に、おみくじで白く埋まった簡潔な造りの神門が建っています。
神門の正面には入母屋造り唐破風付きの拝殿。拝殿の後方には、元文年中(1736~1740)造営の流麗な春日造の本殿が鎮まっています。
社殿幕には「抱き沢瀉(オモダカ)紋」。
本殿・縁の左右より神域を守護されるのは、かっては玉眼をお持ちだったと思われる木製神殿狛犬さん一対。空ろな眼窩が過ぎていった時間を物語っています。遠目なのと、すでに夕焼けに染まりつつある境内+私たちのデジカメ&腕ではこれが精一杯。
拝殿前より神域を守護されるのは、明治42年(1909)吉日建立の出雲構え型の狛犬さん一対・・吽形さんは酷く損傷しており、見れば、足元に剥落したお鼻が・・・何とか形のあるうちに修復できないものでしょうか。
境内右側に鎮座されるのは「境内社:柳ノ宮神社」。毎年8月1日、2日に行われる「柳の宮例大祭:豊岡柳祭り」。神輿渡御や花火大会等々、豊岡市市街地域の最大のお祭りだそうです。
御祭神は『天照大神』と『建速須佐之男命』の誓約によって生まれた『五男三女神』。「杞柳・かばん産業」の守護神とされます。
拝殿前左右より神域を守護されるのは出雲丹後系の狛犬さん一対。阿形さんの足元には毬で遊ぶ子狛がいます。
境内社「川下神社」。御祭神は『祓戸四柱大神』。
「祓戸」は穢れを祓う場所を意味し、「四柱大神」とは「川(もしくは滝)の神・海の神・風の神・地底(霊界)の神」を指します。
拝殿前左右より神域を守護されるのは、岡崎現代型の狛犬さん一対。量産型に比べると断然良い表情です(^^;)
「境内社:恵比須神社」。御祭神は『事代主命』
「境内社:稲荷社」。御祭神は『豊遠加姫命(とよおかひめのみこと)』
参拝を終えて境内を後にした時に見かけた「出町大いと場跡」の碑。裏に「城下町豊岡の北の玄関として千石船の廻船も荷あげをし堀川橋と共に隣国まで知られた船着き場」と刻まれています。円山川左岸のこの地は、かっては千石船が行き交う活気に溢れた場所だったようです。
参拝日:2011年3月30日
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『豊遠加姫命(とよおかひめのみこと)=豊受大神=大物忌神(おおものいみのかみ)=豊宇気毘売神・・他』、食物の神。