赤磐市馬屋(まや)にある歴史的建造物「旧赤坂高等尋常小学校本館校舎」。
マンホール撮影の道すがらに偶然見かけた建物ですが、その美しい姿に思わず車を停めてもらい、急遽立ち寄ることにしました。近くまで来るとひどく寂れた感じですが、建物そのものは歴史的建築物を思わせる好みの佇まい。特に正面中央の玄関口には、木製のハンマービームトラス状の装飾構造物が取り付けられており、それが美しい建物にハイカラな優しさを添えています。
玄関の上に設けた屋根窓には「菊水」の紋章。これほどの外観を備えていながら、玄関内には雑多なモノが積み上げられており、まるで倉庫か納屋のような雰囲気・・・・
結局、この建物が何であるか良く分からないままに画像に残して帰宅。でもやはり気になって色々検索した結果、明治43年(1910)、現在の岡山県久米郡久米南町にあたる里方村に、「赤坂尋常高等小学校・本棟」として建設。昭和2年(1927)、開校当初に教室として借用した誕生寺の名前を冠して「誕生寺尋常高等小学校」と改称。学制改革で「誕生寺小学校」に改称され、昭和45年まで使用されていた事が判明しました。
その後、ブログの大幅な加筆修正を機に更に調べた結果、木造2階建てルネサンス様式の建物は「岡山県の近代化遺産」の一つであり、2018年11月2日、国の登録有形文化財(建造物)として登録された旨がわかりました。私達がこの建物を見たのは2012年1月の事ですから、7年近くこの状態だったと言う事でしょうか?
気になったと言えば、玄関近くにあったこの石・・・四面に仏の姿が刻まれているのは、かって教室として借用した「誕生寺」と何か関係があるのでしょうか?結局、そうした幾つかの疑問は解明されないままに終わりました。
「基礎は上下を切石、中間を煉瓦積みとしている。外壁は腰回りに堅羽目板、他の部分は下見板を採用している。2階は上部に交差筋交いをいれたハーフティンバー様式で、講堂として使用されていた。「菊水の紋章」は、当時、岡山県下で学校を多く建築した江川三郎八の好んだ外観とデザインを示す。校舎新築のために一度解体されたが校舎保存運動があり、昭和49年、福武書店を設立した福武哲彦の協力を得て、廃校となった馬屋の高月小学校跡地に移築。岡山進研学院に譲渡された形となり倉庫として使用されていました。」『江川 三郎八(えがわ さぶろうはち)』は、旧遷喬尋常小学校校舎(真庭市)や閑谷学校資料館(備前市)などを手がけた人物として知られている。」
訪問日:2012年1月25日
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