塩尻市楢川、奈良井宿の最南端・鳥居峠の入り口に鎮座される「鎮(しずめ)神社」。御祭神は『経津主命(ふつぬしのみこと)』。
由緒「寿永から文治(1182~1190)の時代、『中原兼造』が鳥居峠に建立したと伝えるも、天正10年(1582)の戦火で焼失。元和4年(1618)、奈良井宿に疫病が流行り、これを鎮めるため『奈良井義高』が、「下総国・香取神宮」から『経津主命』を勧請し、現在の地で祭祀を始めたことから鎮(しずめ)神社と呼ばれるようになった。」
拝殿の奥、覆屋の中に建つご本殿は寛文4年(1664)の造営。大工棟梁は大桑村の定勝寺山門手掛けた『田中庄三郎重房』。一間社流造・こけら葺で全体に朱漆が塗られているそうですが、外からではその姿を見る事はできません。本殿は塩尻市有形文化財の指定を受けています。
拝殿の左右より神域を守護されるのは、目・口中・玉に鮮やかな彩色が施された、かなり個性的な狛犬さん一対。奉納年などの詳細は不明ですが、見た感じではそんなに古い物ではないようです。
台座付近を確認していると吽形さんの右前足の下で不敵に笑う仔狛さんと目が合って思わず苦笑い。無視するなとでも言いたげな顔つき、個性的という意味では決して負けていません。
朱塗りの鳥居の真後ろに建つ、朱塗りの神楽殿と御神木の杉(の根元部分)
巨木過ぎて、これくらい離れないと全体像は写せません。
奉納額の文字は随分とかすれていますが「鎮神社」の御社名だけは驚くほど鮮やか。
鎮神社の入口に建立された「蠶魂(こだま)大神」の碑。「蠶」は「蚕」の旧字であり、養蚕が盛んだった地域にはこうした文字碑が多く見られます。
鎮神社の前を北に進めば、中山道屈指の難所と言われた「鳥居峠」への登り口。京に向う旅人は、これから先に待ち受ける難所の峠を無事に越えられるようにと神に祈り、京からやっとここまで来た旅人は、長い道中の無事を神に感謝して宿で一息つく・・石灯籠に灯された火の色は、行く人・来る人のいずれにも胸に迫るものだったでしょう。
境内の近くに建立されていた同祖神、庚申塔。庚申様の足元には、見ざる・言わざる・聞かざるの三猿の姿もあります
右から馬頭観音像、阿弥陀佛・廿三夜塔
庚申塔
さぁ、参拝を済ませたら、再び奈良井の宿場を歩く旅人に戻るとしましょう😊 奈良井宿の魅力はまだまだこんなものではありません!という事で(こればっかり)、明日は「奈良井宿~其の四」に突入です 。
参拝日:2010年10月3日
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