コロナが流行する前からのことですが、患者さんにお出しする薬が入荷できにくくなっていました。そしてコロナで咳止めや去痰剤は大変なことになり、今も慢性的に不足状態が続いています。
私のところは時代遅れの「院内処方」ですので、処方した分は窓口で患者さんに直接お渡しします。在庫を見て薬問屋さんに注文しても「出荷調整になっているので」ということで断られるか、納入までに時間がかかることが、コロナが終わっても感冒薬以外のほかの多くの薬が入荷しづらいです。
「院外処方」なら、処方箋を渡した後は、冷たい言い方ですが、薬局と患者さんに「あとはお任せ、そちらで何とかしてください」…いいなあ。
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あるところで、このことについてある薬学部教授が話されていました。
① 医療費軽減のために政府が進める内服薬のジェネリック化により、大手の製薬会社が新規の薬剤開発をしなくなった。膨大な費用をかけ新薬を作っても数年で特許が切れ、ジェネリックに置き換えられ採算が取れないから。
② 次に後発品メーカーもジェネリック薬品は先発品に対しての薬価(毎年決められる薬の定価)がとても低い(安い)ので、製造してたくさん売れても利益が上がらない。
③相次いで起こる製薬会社の不祥事。経営状態の悪化などで赤字を減らそうという思いから、本来は実施が義務付けられている「薬の検査」を省いて国から業務停止命令。とくに、薬の原末をジェネリック製造メーカーに提供してきた薬品会社の不正があったことで、ある特定の薬については、ほとんどすべてジェネリックが供給されなくなるという事態が。
おまけに、このようなときに頼りになるはずの先発医薬品の製薬会社は、すでに撤退した後なので急に「やはり、もう一度製造販売してほしい」と要望されても、工場の生産ラインを改めて再開することは簡単ではない。
この3点で日本は世界から新薬開発でも遅れてしまい、医療現場では必要とされる薬の流通が滞っていて、患者さんに届かない。
何とかしてください。患者さんが良くなる方法がわかるのに、薬がないからできないとは、悔しいし患者さんがご不幸です。