明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1159)ヨウ素剤を配る!上

2015年09月27日 18時00分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150927 18:00)

兵庫県篠山市が安定ヨウ素剤配布の具体的スケジュールを決めました。来年1~3月に18回配ります。
ようやくここまで来たと言う感じです。

配布に向けて24日に、兵庫医科大学の上紺屋憲彦教授が、篠山市の医師、薬剤師に安定ヨウ素剤の服用方法や効能などの説明を行いました。
上紺屋教授はこれまでも看護師や保健師、市職員などへの講演を行っています。
篠山市もまた上紺屋教授の講演をDVD化し、全自治会での説明会も行ってきました。市職員400人があらかじめ学習し、説明者となって自治会を周りました。
ここまで準備を重ねての配布になります。

安定ヨウ素剤は、原発や核施設の事故の際に、飛来する放射性ヨウ素から甲状腺を守るための薬です。
安価ですが、甲状腺を守るのに大きな力を発します。なおかつ副作用の可能性もきわめて小さいものです。

原発は再稼働していなくても燃料プールがある限り大変危険です。福島原発事故の際、4号機燃料プールが大変な危機に見舞われました。
現在、全国の原発の燃料プールにはウラン換算でなんと17281トンもの核燃料が溜まっています。
燃料プールの容量総計は23801トンですから、なんと約73%もが埋まってしまっています。

といってもこの73%というのも「ニセ」の数字です。なぜならもともとの設計のままなら燃料プールはすでに完全に埋まってしまっていたからです。
燃料プールが満杯になると、核燃料の持って行き場がないので原発は運転できなくなる。だから本来、福島原発事故前に設計時点の想定に従うならば運転してはならない状態になっていたのです。
電力会社はこれに対して、「リラッキング」というとんでもないことを行いました。プールに沈めている使用済み核燃料集合体の間隔を詰めて、強引に容量を増やしてしまったのです。

核分裂性物質は、ある一定量が集まると勝手に核分裂を始めてしまう性質を持っています。だから扱いがやっかいで恐ろしいのです。
そのため「これだけの間隔がないと危険だ」と考えられて燃料プールへの収納の際の間隔が決められていたのですが、リラッキングは稼動を続けるために安全マージンを犠牲にして行ったものです。
ちなみにリラッキングを行って、管理容量を強引に増やしてもなお、93%まで埋まってしまっていたのが、福島第一原発だったのでした。

これらから大地震などに襲われた場合、燃料プールで使用済み核燃料が倒れるなどして集まってしまい、勝手に核分裂が始まってしまう可能性があります。
いやもともとの設計でも危険なのですが、リラッキングをしているためにより危険度が高いのです。核分裂が始まれば、新たに放射性ヨウ素が発生してしまい、原発から飛来してくる可能性があります。

この点から再稼働を考えなくても、安定ヨウ素剤は持っていた方が良いのです。多くの方が国内を旅行や仕事などで頻繁に移動していることを考えると、原発からの距離に関わらず所有した方が良いです。
ましてやあらゆる面にわたって無責任性を強めている政府が、川内原発の再稼働を強行してしまいました。内閣も原子力規制庁も九州電力もどこも安全性に責任をとっていないにもかかわらずにです。
これまで述べてきたように、4年以上停まっていた川内原発はそれだけでも危険です。ましてや加圧水型原発は蒸気発生器などで事故を繰り返してきている型の原発です。この点からも事故に備えた方が良い。

さらに今、世界では400基以上の原発がまだ稼動しています。そのどこで事故が起こっても不思議ではありません。
中国や台湾、韓国など、日本の近くの原発の事故で放射性ヨウ素が飛来する可能性もあるし、海外に滞在中に事故に遭遇する可能性もあります。
その点からも、私たちは世界が核の脅威から完全に脱することができるまで、安定ヨウ素剤を携帯する必要があるのです。

この点からぜひともみなさんにお願いしたいのは、篠山での取り組みを全国に拡大して欲しいということです。
篠山市は一番近い高浜原発から45キロから70キロに位置している市です。それでも兵庫県が行ったシミュレーションで、IAEA(国際原子力機関)が定めている安定ヨウ素剤服用基準の2倍の放射性ヨウ素が飛来しうるという結果が出ています。
これを大きな参考にして篠山市はただちに備蓄を行い、今、事前配布を行おうとしているのですが、同じくように全国で備蓄、事前配布を進めて欲しいです。篠山市の例を出して、お住いの地域の行政に強く要請してください!

これはけして再稼働を容認する行為ではありません。
むしろ安定ヨウ素剤を持ち、服用方法や効能をしっかりと知ることは、原発の危険性、放射能の危険性と身の守り方をきちんと把握していくことにつながります。
だからこそ国はこれまで避難計画やヨウ素剤の広域への配布を行ってこなかったのです。そしてそのために福島原発事故でも避けられるべき被曝が避けられなかったのです。いや避けられる被曝が避けられていない現実は今も続いています。
こうした状況を打ち破り、多くの人々が放射能の危険性と避け方を学ぶ一助としても、安定ヨウ素剤を誰もが持つことが大切です。

行政への交渉に当たっては、僕も参加する兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員会が篠山市長と市民に提出した以下の提言を参考にしてください。

 原子力災害対策計画にむけての提言 http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf

なお次回、この中かから安定ヨウ素剤について触れた章の全文をご紹介します。

この国はまったくといっていいほど住民の命を守ろうとしていません。政府はアメリカのしもべのようになって自衛隊をアメリカ軍のために差し出そうとしてさえいます。
このような状況だからこそ、自分たちで命を守る力をつけていく必要があります。市民の側から、草の根から「原発からの命の守り方」を学び、身に着け、広めていきましょう。

以下、神戸新聞の報道を貼り付けておきます。参考にして下さい。

*****

篠山市、ヨウ素剤配布で方針 医療関係者向けに研修会開催
神戸新聞 2015/9/26 05:30
http://www.kobe-np.co.jp/news/tanba/201509/0008429473.shtml

原発事故に備えて兵庫県篠山市が準備を進める安定ヨウ素剤の事前配布について、市は来年1~3月に計18回配る方針を固めた。
24日夕には市内の医師らを対象に研修会があり、兵庫医科大学の上紺屋(かみこんや)憲彦教授(放射線治療)が薬の服用方法や効能などについて、医師や薬剤師約30人に話した。(安福直剛)

市は年明け後に住民説明会を行い、会場で希望者に安定ヨウ素剤を配布する。まず18歳以下の子どもがいる世帯を対象に実施(5会場=休日に1日2回)。
次に全世帯向けに配布する予定(8会場=夜間)。日程は重ならないよう調整する。配布するヨウ素剤は約1万人分を想定している。

安定ヨウ素剤の事前配布について原子力規制庁は、医師による住民説明会が必要と定めている。市は、説明会とは別に昨年から全自治会で学習会を開いており、市医師会にも協力を求めてきた。
研修会で上紺屋教授は、放射性ヨウ素を体内に取り込んだ場合、甲状腺がんや成長障害などの甲状腺機能異常が起こり得ると説明。ヨウ素剤がこれらを防ぐことや、服薬の時期、量、副作用などについても話した。
河合岳雄市医師会長は「だいぶ理解が深まったのではないか。配布に向け、市民の疑問に答えられるよう、より具体的な研修も必要になるだろう」と話した。

 

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明日に向けて(1158)在外邦人の危機が高まっている!下

2015年09月26日 21時00分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150926 21:00)

前回の続きです。

実はISは2月から「日本を標的にする」という声明を出しています。

 「日本が標的に」『イスラム国』機関誌に掲載
 テレ朝ニュース 2015/02/13 05:57
 http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000044392.html

これはISの機関紙〝Dabiq"を扱った記事ですが、ISはここでかなり踏み込んだことを書いています。
以下、日本語訳の一部を引用します。

***

 「イスラム国は、ただちに、邪神のヨルダンによって約10年もの間、囚われの身になっていたサジダ・リシャウィの解放と後藤健二との人質交換によって、カリフの領土内に移送することを要求した。
 ヨルダン政府は、無謀にも、人質の交換取引においてヨルダンの戦闘機パイロット(の奪還)を入れ込もうとして日本人の人質交換のプロセスを複雑にしてしまった。」

 「後藤健二と、背教のパイロットの親族には何ら責任はないが、アメリカの十字軍を満足させ、奉仕しようとしている彼らの国の政治指導者たちは、そうではない。
 安倍晋三が十字軍を支持するという宣誓を行うまでは、日本は、イスラム国がテロの標的とする優先順位リストにはなかったのだ。
 しかし、安倍晋三の愚かさのせいで、日本のすべての市民と利害関係にある者たち(それは、どこにでも存在する)は、ヒラーファの兵士たちと、この後援者たちにとって、今、標的となったのだ。

 日本は、現在複雑な苦境に置かれている。
 日本は、どうやったら、この苦境から逃れることができるのか。

 安倍晋三は、無謀にもヒラーファの怒りに晒してしまった日本の人々を救うために対策を講じることができるのだろうか。
 彼は、イスラム国に対して、不名誉で思慮に欠ける声明を出してしまった後で、ヒラーファに対する戦争への支持を止めるという勇気ある声明を出すことができるのか。
 それは疑わしい。
 だから、日本の異教徒たちに向けて、アラーの権力と力によってヒラーファの剣が(サヤから)抜かれたことを知らせておこう。」

*****

これはかなり状況を深く分析して出されているメッセージです。
最初に読んだときにとても驚いたのは「後藤健二と背教のパイロットの親族には何ら責任はない」と書いてあったことです。ではなんで殺したのだと深い憤りを感じましたが、ISは以下の点を強調したいのです。
「安倍晋三の愚かさのせいで、日本のすべての市民と利害関係にある者たち(それは、どこにでも存在する)は、ヒラーファの兵士たちと、この後援者たちにとって、今、標的となったのだ。」

この全文を載せているのはブロガーの「カレイドスコープ」さんです。
ISの側の広報に利用されたくないと悩んだけれども、日本政府の姿勢を見ていて出すべきだと判断したと書かれており、その姿勢に深く共感しました。
ただそれでも僕もこれまでこの主張の転載に躊躇してきました。
ともあれカレイドスコープさんに敬意を表しつつ、全文が読める彼のサイトを紹介しておきます。

 イスラム国の機関紙「DABIQ」の日本へ向けてのメッセージ
 カレイドスコープ Tue.2015.02.24 
 http://kaleido11.blog.fc2.com/blog-entry-3431.html

安倍政権は安保法案を通すために意図的にこの声明を無視してきたのだと思われますが、これらを読んだときに、私たちは自衛隊員が危ないと言うよりも日本人全体が危ないことをこそつかむべきです。
中東やトルコへの旅行などとても危ないし、それだけでなく「大使館を狙え」と名指しされている国々をはじめ、多くの地域で民間人が危機に晒されつつあることをしっかりとみすえていく必要があります。
とくにトルコはシリアと国境を接していることもあり、ISとの直接対決を避けてきましたが、この8月にとうとうトルコ空軍をISへの空襲に参加させてしまいました。
そうなるとトルコ国内で報復が行われる可能性があります。第一に危ないのはトルコの方たちであり、それだけでも胸が痛みますが、さらにそのときに日本人観光客が狙われる可能性が大きくあります。

ISは「在外公館を狙え」と公言しているわけですが、軍事的にはそれで在外公館の守りに相手の側を集中させておいて、まったく違うところを攻撃することなどよくあることです。
軍事は騙し合いであり、「敵を欺くにはまず味方から」などと言われるぐらいですから、「ここを襲うぞ」といってまったく別のところを襲うことなど常に行われるからです。

このように書いてくると「それではISのような暴力とはたたかわないのか」という意見も出されると思います。
それに対してはこう思います。まさにISの暴力をなくすためにこそ、非暴力的な平和貢献が必要で、実際に日本の人々はそれをしてきたのだということです。
典型例が中村哲医師を先頭にしたペシャワール会の活動です。そしてその成果を壊してしまうのが戦争法だということです。

実際にもともとISが出てきたのはアメリカ軍の理不尽なイラク攻撃があったからです。このためISを軍事的に叩いても、次から次へとISへの参加者が増えるだけです。たとえISが無くなっても、同じようなものが後から後から出てくるでしょう。
背景にあるのはアメリカの戦争の理不尽さだからです。また新自由主義のもとで世界の中で貧富の差が過酷に開いていることも大きな要因です。
だから、ISの暴力とたたかうためには、暴力の地盤をなくさなくてはいけない。そのために大事なのが人道援助であり、平和貢献なのです。それでこそISへの参加者を減らせるのです。

そもそもオサマ・ビンラディンらのネットワークは、旧ソ連によるアフガニスタン介入に対するイスラムの怒りと、そこに目を付けたアメリカの介入によってこそ形成され、拡大していったのでした。
軍事大国となったフセインのイラクも、イラン・イスラム革命の拡大をおさえたいアメリカが、フセイン政権に膨大な軍事援助を行うなかで地域の覇権国家となったのでした。そしてそのフセイン政権を叩き潰す戦争がISを生んだのでした。
今もアメリカは、ISと敵対関係にあるさまざまな武装勢力に軍事的・資金的援助を行っています。そのことで新たなるモンスターが育っている可能性が十分にあります。

ここからつかみとるべき最も大事な点は、現代の紛争を軍事で解決することなどできないということです。もっと言えば、怒りを恐怖で封じ込めようとしても無理なのです。より強い怒りを生むことにしかならない。
怒りはただただ愛によって包み込むことの中でのみ、真の解体を迎えます。なぜならば怒りの根っこにあるのは恐怖だからです。その恐怖を癒さなくてはならない。そのために必要なのは攻撃ではありません。博愛的な人道援助です。
これまで自国の軍隊を国際紛争の解決につかってこなかった日本には、そのための世界の中でもまれな特権的な位置があったのです。とくに中東では(誤解も含めて)絶賛されてきたのです。

それが有名無形の形で私たちの安全をとても強く守ってきたのです。
安倍政権はそれを踏みにじり、壊してしまおうとしてしまっている。国内では「平和力」からの反撃を受けることになりますが、海外、とくに中東ではそうではありません。
これまでのイメージが良すぎたがゆえに、大きな裏切られ感が形成され、軍事的反撃につながる可能性が高くあります。実際にそのために後藤健二さんはISすら「罪はない」と認めていながら殺害されてしまったのです。

こうした流れに対してどうしたら良いのでしょうか。答えは一つです。戦争法をひっくり返し、さらに中東に邪悪なイメージを振りまいている安倍政権を倒すことです!
そのことでこそ私たち全体の安全が確保されます。We are not Abe!と叫ぶだけでなく、こんなひどい戦争政権は許さないのだという日本民衆の力強いメッセージを、実際に政権を倒すことで示すことです。
もはや安倍政権を倒すことには私たちの生存権がかかっています。私たちの命を守り、さらに世界の中の争いを縮小させていくために、アベ戦争政権を倒しましょう!

連載終わり

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明日に向けて(1157)在外邦人の危機が高まっている!上

2015年09月25日 15時00分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150925 15:00)

強行採決後のシルバーウィークが過ぎましたが、大型連休を挟んでも、国内に広がった「戦争反対」の声はまったく収まらず、むしろ各方面へにさらに急速に波及しつつあります。
京都でも早速昨日24日に「戦争法をただちに撤回せよ」というデモが行われました。
Facebookに動画を投稿したので、アドレスを示しておきます。ご覧ください。

 戦争法反対京都デモ 20150925
 https://www.facebook.com/toshiya.morita.90/videos/vb.1182740570/10206193901384814/?type=2&theater

すでに書いてきたように、僕は戦争法の強行可決でなんら落胆していません。安倍首相が踏みにじろうとしているのは、日本の中に広く浸透している「平和力」であり、必ず大きな反発が起こること、いやすでに起こっていることを実感しているからです。
しかしけして楽観だけしていられないし、していていいわけでもありません。なぜなら安倍首相の好戦的な態度、アメリカにべったり寄り添う態度が、世界の人々に大きな警戒を抱かせ、強い反発を招いているからです。
とくに激しい怒りを伴いつつあるのが、アメリカにもっとも手酷い目にあわされ続けているイスラム世界の人々の感情です。そのためにすでにもう在外邦人の危険性が飛躍的に高まっています。私たちはこのことをしっかりと見ておく必要があります。

こうした推移を見定めながら戦略を練っているのが、イラクとシリアにまたがるモンスターとなっているISです。(注。ISはIsiamic Stateの略です。次に紹介するテレ朝などでは「イスラム国」としていますが、このブログではISとすることとします。)
ISは9月になって「日本攻撃」を呼びかけました。ISは情報分析に優れており、安倍政権の戦争法案強行可決の姿勢が国内外に反発を呼び起こしていることを見据えてこうした声明を出していると思われます。テレ朝のニュースをご紹介します。

 “日本攻撃を” 「イスラム国」が機関誌で呼びかけ
 テレ朝ニュース 2015/09/11 16:23
 http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000058571.html

もちろんこの流れは今年年頭に、後藤さんと湯川さんが人質になっている状況下で安倍首相が中東に訪問し、ISを攻撃している国に援助を行ったこと、エルサレムでイスラエル国旗と日の丸の間にたって「テロとの対決」を呼号した時からの流れです。
当然にもすでに在外公館の関係者が一番危ない状況に置かれていますが、それだけでなくNGOを含んだ日本に関連する機関、企業などもみな危なくなります。旅行者も狙われる可能性があります。

昨日の京都のデモでも「自衛官に殺させるな」「自衛官を殺させるな」というコールが何度も叫ばれていました。「に」と「を」を使いわけたとても説得力のあるコールでしたが、実は今、さしあたっては自衛官よりも民間人の方が危なくなっています。
攻撃する側から考えても、非武装の人々の方が襲いやすく、打撃を与えやすいからです。それが軍事的リアリティです。

しかもそうなると防衛しなければならない人々は膨大にいますから、軍事的に守り切るのはまったく無理です。相手は365日のうちの1日の数時間で襲撃を成功させれば「勝」です。守る側は365日のすべてを守り通してやっと「勝」なのです。
こういう形の戦争のあり方を「非対称的戦争」といいます。イギリスの戦略家、リデル・ハートの言葉です。ベトナム戦争などを分析したものですが、侵略軍と抵抗するゲリラ軍の関係はどこでも似たようなものです。
ISの場合、攻撃してくるのは特攻隊です。自殺攻撃で来ます。逃げることを考えずに攻撃してくるので、最も強く、最も守りにくいのです。実際それであちこちで多くの人々が殺されています。中には屈強なアメリカ軍も含みます。

日本の場合、人道援助などで世界中に信頼関係を積み上げて、人の輪に囲まれることを常としてきたので、いっぱんに軍事的セキュリティ力は低いです。
アメリカの方が民間人であってもセキュリティ意識が高いです。セキュリティ意識が高いというのは、猜疑心が強く、何かあったときにすぐに暴力に依存して自分を守る意識を持っているということでもあります。
多くの日本人はそういう関係に立ってこなかったので、猜疑心が弱く、フレンドリーで、だから狙おうと思ったら一番容易です。メンタリティで言えば自衛隊員とて変わらないと思います。

軍事的に強くなるには、いざとなったら呵責なく暴力を振るい、人を殺せるメンタリティを持つこと。また常に周囲を警戒し、張りつめた緊張感と猜疑心を持ちづつけることです。当然そうなると誤射なども増えますが、それをも顧みない冷徹な意志が必要です。
実際にはこうしたことは人間の通常の感覚に大きく逆らいますから、アメリカ兵の場合ですら戦場を離れてからPTSDにかかり、自殺者をたくさん出してしまうのです。それが戦争のリアリティです。
サマワに派遣された自衛隊も帰国後にたくさん自殺しています。張りつめた緊張感と猜疑心が、心に傷を作り、平和な状態に戻れなくなってしまったのでしょう。これは内側からの「戦死」です。

こうした心理状況から言って、日本人は狙われ出したら実に容易に攻撃対象になってしまいます。
繰り返しますが、国際的な場で自衛隊の力を、つまり武力を使って解決をしてきた経験が少ないので、猜疑心が弱いからです。

こうしたことをも踏まえてだと思いますが、例えばペシャワール会の中村哲さんは、支援活動の中止も考えると語られています。

 「テロの標的になる可能性高まる」 NGOに広がる懸念
 朝日新聞 2015年9月19日00時33分
 http://digital.asahi.com/articles/ASH9L00V8H9KUTIL064.html

記事の一部を引用します。

***

 「アフガンでは、日本が第2次世界大戦後、海外に進駐していないことは知られているという。だが、米軍の後方支援を名目に自衛隊がアフガンに来ることになれば、「自分たちの土地に踏み込んでくる」という日本への反感を招くとみる。
 その矛先が現地の日本人スタッフらに向けられ、危害が及ぶ心配もあるため、支援活動は「ストップせざるを得ない」と語る。
 「私たちが現地の人々の命を守る活動をしているからこそ、現地の人から大事にされ、守ってもらえる。それが最大の防衛。自衛隊の武器では安全は守れない」と指摘。
 「お金を使って敵意を買うようなことをするより、他にすべきことがある」と強調する。

***

違うNGOの声も載っているのでぜひ全文を呼んでいただきたいですが、安保法のもとでの自衛隊派遣は、これまでの官民双方でのさまざまな日本による国際貢献の成果を台無しにしてしまい、その分、在外邦人の危険性が高まるのです。
いやすでにもう高まっていることを私たちはしっかりと認識しておく必要があります。

続く

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明日に向けて(1156)戦争を阻む平和力―下

2015年09月24日 08時30分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150924 08:30)

9月22日に行われた、No war & Peace Music Fes in 左京での僕の発言の起こしの後半をお送りします。

*****

そんなことを別の機会で感じることがありました。みなさん、「戦争は良くないことだ」というのはまだ世界では常識ではないです。
日本では例えば安倍さんでも「戦争法案という言い方は誤解だ。これは戦争を遠ざけるための法案なのだ」と言いますよね。もちろん、これは嘘です。嘘だけれども「今ぞ、お国のために、100万若人よ起て!」とは言えないわけです。

ところがですねえ、僕はピースウォーク京都と言うグループでアメリカの戦争に反対するウォークをずいぶんやってきたのですけれども、ちょうどイラクにアメリカが戦争を仕掛けようとしているときに、中国人の友だちが参加してくれたのです。
日本に来て働いていた方ですが、彼の名前をよく覚えているのです。陽増軍君(苗字は仮名)。軍を増やすという名前です。すごく印象的な名だったのですが、僕は勝手に文化大革命の時などの生まれなのかなとか思っていました。
その陽君はとても柔和な方で、優しい男性で、いつもいつもニコニコと笑っているのですね。その彼が「僕はアメリカがイラクに攻め込むことに反対です。一緒にデモに出たいです」というのです。それで実際に参加してくれたのです。
一緒に歩いて、デモが終わって、喫茶店に入って話をしました。その時に誰かが「ところで陽君のお父さんは何をしている人なの」と聞いたら、陽君、嬉しそうに「父も中国で日夜平和のために働いています」と言うのです。
みんなが「えー、何をやってるの、教えて」と言ったら、陽君、本当に誇らしげに胸を張って「父は人民解放軍で日夜ミサイルを作っています」と言うのです。それが「平和のため」なのですね。

中国は侵略戦争に勝った「正義の戦争」の経験しかないのですね。それに対して日本、ドイツもそうだと思いますけれども、正義の名の下でどんな過ちが起こったかを経験してきました。
同時に正義の名の下に原爆を落とされ、空襲を行われ、徹底した殺戮を受けることも経験しました。その中で「正しい戦争などない」ということを痛切に経験してきたのがこの国だったと思います。だからこの国では憲法9条が可能だったのです。
押し付けられたものではないです。だから僕は今後、この考え方こそが世界を救うものになっていくと思います。戦争では今世界で起こっている矛盾はどこまでいっても解決しないですよ。

同時にみなさん、原発の問題でぜひ知っておいて欲しいのは、チェルノブイリ原発事故の起こった地域は、長きにわたってユダヤ人がもっともたくさん住んでいた地域だということです。
なおかつナチスドイツが、ソ連とポーランドを分割して、そのポーランドの中で軍隊を整えて、1941年からバルバロッサ作戦というソ連への大侵攻作戦を始めました。その一番の戦場がベラルーシとウクライナだったのです。
ナチスは数年間、一帯を占領しました。それに対してたくさんの抵抗が行われました。その過程であの地域はナチスに目茶目茶に破壊されたのです。
原発事故があっときに原発周辺は田舎でした。道路も舗装してなかったのですが、その道路を通じて放射能が運ばれてしまいます。そのため旧ソ連政府が最初に行ったのが道路を舗装する工事だったそうです。
それで道路を掘ると、ザックザックと白骨遺体やナチスのヘルメットが出てきたそうです。

この話を僕はドイツ人たちから聞きました。ドイツ人たちとベラルーシに一緒に行って、その話を聴いたのですね。
それでベラルーシの方たちと合流して歓迎会があったときに、英語でスピーチするのですが、友人になったドイツ人がこう言いました。
「私はかつてアウシュヴィッツに行ったときに、英語での交流会があったのですが、ショックで俄かに英語が話せなくなってしまいました。そして交流ができなくなってしまいました。
今日、ベラルーシに来るときも、私はまたショックで英語が話せなくなってしまうのではないかと不安で不安でたまらない思いできました。でも今、私はこうして英語でみなさんと交流できています・・・」

僕はその夜にドイツ人が仲間たちで集まっているところに行って「あなたの発言で僕は日本軍の中国への侵略を思い出した」と語ったのですね。
そうしたらドイツ人たちは「ああ、やっぱり日本人は分かってくれるんだ」と言ってくれました。
チェルノブイリ原発事故の被災者に対して、ヨーロッパ各国からさまざまな支援がなされてきましたが、とりわけドイツは凄いです。民間団体だけでも1000以上が、保養だとか、いろいろな支援を行っています。
それもあの戦争の痛みを越えようとする行為なのですね。だからヨーロッパの「原発反対」の中にも、戦争の痛みを越えようとする思いが深く込められています。

70年前のあの戦争で、侵略も含めて、戦争の何がいけないのか、何が悲しいのか、そのことを痛切に知って、それを語り継いで伝えてきたのが、この国の中にある平和力だと思います。
安倍さんはそれを踏みにじろうとしました。だからこれから必ずさらに大きな怒りが起こります。それをみんなで豊かに発展させて、本当の平和を目指していきましょう。頑張りましょう!

連載終わり

*****

なお張本さんの発言について、部分しかご紹介できなかったので、読売新聞のサイトに掲載されたインタビュー記事全文をご紹介します。
ぜひこちらもお読み下さい。ネットへの掲載日時は8月9日午前5時となっています。

 あの夏 熱風私をかばった母…元プロ野球選手 張本勲さん 75
 読売新聞 2015年08月09日 05時20分
 http://www.yomiuri.co.jp/matome/sengo70/20150808-OYT8T50000.html

 

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明日に向けて(1155)戦争を阻む平和力ー上

2015年09月23日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150923 23:30)

昨日、9月22日に京都市の国際会館で、No war & Peace Music Fes in 左京があり、参加しました。以下、京都新聞の23日の記事をご紹介します。

 「戦争NO」音楽に乗せ 京都・左京で交流会、平和憲法堅持訴え
 http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20150923000032

13組のアーティストが出演する合間に、4人が戦争法反対のトークを行うと言う企画で、僕は夕刻に、元「五つの赤い風船」メンバーの長野たかしさんらの歌の後で発言させてもらいました。
それを文字起こししたのでご紹介します。「平和力」という僕の考えについてお話しました。なお長いので2回に分けます。

*****

みなさんこんにちは。

僕の前に演奏された長野たかしさんの演奏を聴いて、かなり心が持っていかれてしまって実は今、どう話すか動揺しています。
僕は今、56歳で、中学校に入ったのが1972年なのですね。そのころフォークソングというものにあこがれて、ギターを買って、たくさんの楽譜を取り寄せて、コピーしようと練習しました。
その中で結構大きなウエイトを占めていたのが「五つの赤い風船」なのですね。

その頃って、ちょうど大きな学生運動が終わっていく時代だったのですけれども、でも中学生のフォークソングを始めようとする子どもの前には、たくさんの戦争のことを歌った唄があったのです。
その唄を僕は何曲も、何曲も、あまり意味も分からずに、経緯も知らずに、歌ったのを覚えています。
その頃から今まで長野さんが、心を込めて、「二度と戦争をしてはいけない」とずっと歌い続けてきてくださったのだなあとさきほど曲を聴きながら考えてとても胸を打たれました。
僕はそれは日本の文化の中に根付いている「平和力」だと思うのですね。

ご存知のように安倍さんが、戦争法案を強行採決で通してしまったわけですが、僕は強行採決された時に、まったくと言っていいほど悲壮な思いを感じませんでした。
なぜかというと安倍さんは巨大な地雷を踏んだからです。この国の人々の中に浸透している平和力にはものすごく深いものがあると思います。
今まで自民党がけして手をつけようとしなかったものです。なぜかというとそこに手をつけてしまうと政権が維持できないからです。そう考えられてきたのがここ50年ぐらいの流れでした。
だからこそ今、日本中で本当に大きな覚醒が起こって、戦争をさせない、人を殺させないという動きが強まっていると思います。僕はこれはけして消えないと思います。
けして消えないだけではなくて、これまで自民党が騙してごまかしてきたものが、僕はむしろこれでよく見えるようになったと思うのですね。

僕は今、平和力というお話をしましたけれども、8月6日に長野県に翌日の講演で招かれていて、新幹線などを乗って向かっていたのですけれども、そのときに読売新聞を買いました。
「安倍政権断固支持。戦争推進」の読売新聞です。その読売新聞が8月6日に何を言っているのか。僕自身、ファイトを燃やすために「読売新聞、そこまで言うか」とかいう感じで対決しようという思いで買ったのですね。
そうしたらまったく予想外でした。8月6日に読売新聞が載せたのは張本勲さんのインタビューでした。ご存知でしょうか。プロ野球で東映フライヤーズから巨人軍に移って、大活躍を続けた選手です。
その張本選手は被爆者です。広島で被爆しています。同時に彼は在日朝鮮人です。両方の苦しみを背負った方です。

彼は小さい時(4歳の時)、たき火に倒れ込んでしまって大やけどを負いました。バックしてきたトラックにはねられたのです。お母さんが抱いて病院に駆けつけましたが、警察は「なんだ、朝鮮人か」と言ってとりあってくれなかったそうです。
そんな中で右手の薬指と小指が癒着しているのですね。そのために彼は左利きになる練習をしてやがてプロ野球の選手になったのです。さらに5歳の時に原爆を落とされて被爆したのですが、お姉さんはその時に亡くなっているのだそうです。
張本さん自身はお母さんが覆いかぶさってくれて助かった。しかし人間の肉の焼ける匂いや、夜通し続くうめき声が忘れられないと言います。
その張本さんが原爆資料館の話をされています。「自分は原爆資料館には入ることができなかった。何故なのかと言うと入ったら怒りと恨みが込み上げてくるから」というのです。

ところがそのことをこの8月6日ではなくて、もっと前に新聞のインタビューで「8月6日は思い出したくない」と語ったら、小さな女の子から「自分は長崎の原爆資料館を怖かったけれども見てきた」という手紙をもらったのです。
張本さんはそれを見て、「自分も行かなければ行けない」と思って、原爆資料館にようやく行ったそうです。2006年のことだそうです。
そういう記事が読売新聞に3面をも割いて載っていたのですね。あの読売新聞であろうとも8月6日にはそういう話を載せないと成り立たないことを分かっているのです。
なおかつそれを書いた記者さんは心から原爆の悲劇に怒り、嘆きながら書いていたと思います。だから読売新聞を見てファイトを燃やそうと思ったのですけれども、むしろ感動させられてしまいました。
それがこの国の中にある平和力だと思うのですよ。そういうことが何度も語られてきた。さまざまな戦争体験が話されてきた。さきほども米澤さんが被爆体験を語って下さいました。見たものにしか分からない地獄の様子を何度も語り続けてくれたのです。

僕の母もそうです。母は東京大空襲の爆心地にいました。ほぼ奇跡的な生き残りです。だから僕は東京大空襲のサバイバーです。
その母が1980年代になって、中曽根政権というのが出てきて、この方もちょっと安倍さんに似たこわもて派の軍事に向かう傾向が強い方で、僕は戦争になるのではないかと思って、一生懸命に反戦の学生運動をしていたのですね。
すると母は「反戦運動はやる必要がない」と言うのですよ。なぜなのかというと母の理屈はこうでした。
「前の戦争で国民は本当にひどい思いをした。だからもう一度戦争をやろうとしたら国民は絶対に黙ってない。幾らなんでも政府はバカではないからそれを分かっている。だから絶対に戦争をしない」。
「そんな風に思っているのか」と何だか感心もしましたが、でも一方で懸命に「日本は直接は戦争をしなくてもアメリカと結んでベトナムへの爆撃とかを支援して戦争に加担してきたんだよ」と語ったのですが、ぜんぜん耳を傾けてくれませんでした。

ところがある時に「ベトちゃん、ドクちゃん」が映像に写りました。アメリカ軍が撒いた枯葉剤の影響で、二人が結合して生まれてしまった方たちです。その頃は赤ちゃんでした。
それを見たときに母が爆発的に泣き出したのですね。僕はびっくりしました。タジタジとしました。母は号泣しながら「なんで?なんで?ひどい!ひどい!ひどい!」と叫び続けました。
それで「僕はこういうことに反対してずっと運動をしているんだよ」と言ったら、突然、泣きながら起ちあがって財布を取りに行って、1万円札を3枚取り出して、涙でぐちゃぐちゃにしながら僕の手に押し込むのです。「運動に使いなさい」と言って。
その母も随分前に病気で亡くなりました。母は理路整然と戦争のことを話すことはできませんでしたし、断片的な形でしか戦争への思いを伝えてくれませんでしたけれども、でも母の中には戦争で傷いた人々への悲しみと愛が溢れていたのだと思うのです。
戦争で本当に辛い思いをして、二度と戦争でそんな思いを人にさせてはいけない、戦争で人が傷ついてはいけない、そんな思いが育ち、伝えられてきた。それがこの国の中に、本当に空気のように沁みこんできたのだと思うのです。

続く

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明日に向けて(1154)平和への旅・・・

2015年09月20日 08時00分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150920 08:00)

戦争法強行可決に対し、Facebookのタイムラインに投稿した記事をそのまま転載します。

***

19日未明、戦争法案が強行可決されましたが、すでに多くの人たちが表明しているように僕にはいかなる悲壮感もありません。むしろこれからだという思いを強くしています。
戦争法をひっくり返し、アメリカと日本との長く続いた歪んだ関係性を捉え返し、本当の平和への道を切り開いていく。そのスタートが切られたのだと思います。

この道を歩み通せる根拠は本当にたくさんの人々が覚醒したこと。安倍首相は歴代自民党が徹底して避けてきたパンドラの箱を開ける愚を犯してしまいました。
彼は日本民衆の目を見開かせ、権力の悪辣な姿を人々に知らしめた人物としてこそ歴史に残るでしょう。いや私たちの力でそのように書き込みましょう!

18日夜、京都デモに参加したときの自分の写真をご紹介します。竹内豊君が撮ってくれたものです。明るすぎるでしょうか。
でも僕にはデモの向こうにさらに立ち上がる人々の姿が見えてきて、なんとも笑いが止まらなかったのです。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10206150114890179&set=a.4505891643698.2165302.1182740570&type=1&theater

ちなみに僕が来ているのは民&民Tシャツ。フライングダッチマンのリー君の書いた「ヒューマンエラー」の歌詞冒頭が背中にのっているものです。
この日のデモにはこれしかないと着込んでいったのでした。
ロックンロールのノリでNo warだぜい!

***
今日はこれから宇治市の西小倉めぐみ教会にでかけてお話します!
タイトルはこの夏に語り続けてきた「戦争と原爆と原発と放射線被曝のつながりを内部被曝からとらえ直す」です。
強行可決された戦争法問題にも触れなくてはですね!

午前中の礼拝のときに僕自身が放射線防護に取り組んだ内面のお話もさせていただきます。
前述したタイトルに基づく講演は午後からです。
お近くの方、お越しください。

「戦争と原爆と原発と放射線被曝のつながりを内部被曝からとらえ直す」
お話 守田敏也さん
日時 9月20日(日)
 午前の部(教会礼拝にて)午前10時半~11時半 テーマ「いのちを守る」
 午後の部(研修センター主催)午後1時半~3時半「被曝と防護」

場所・主催 西小倉めぐみ教会・研修センター 参加費無料
 協賛 日本キリスト教団京都教区 南山城伝道協議会

近鉄小倉駅の近くです・・・

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明日に向けて(1153)戦争への道を食い止めよう!戦争法案強行可決の動きに徹底して抵抗しよう!

2015年09月18日 01時30分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150918 01:30)

みなさま。多くの方が眠れない夜を過ごしていると思います。いやもう何日もそんな夜を過ごし、今は早朝に控えて眠られている方もいるかもしれません。
そうした方を含めて、たった今、全国で、安倍政権の暴政に対する徹底した抵抗が試みられています。
抵抗が行われているのは国会内外ではありません。各地でデモがある。そしてツイッターでSNSでたくさんの情報が飛び交い、署名が回され、FAXが送られています。
今言えることはこの抵抗の力は今後、どんなことがあっても萎えさせてはならないし、萎えることはないだろうということです。

ともあれたった今は出来る限りのことを貫きましょう!
東京の杉原浩司さんより具体的な提案がまわってきましたので、今宵はこれをそのまま載せます。

頑張りましょう!

 

*****

【「違憲立法作らせ9(ナイン)」に戦争法案廃案の声を届けよう!】

東京の杉原浩司です。[転送・転載歓迎/重複失礼]

9月17日午後、本来行うべき締め括り総括質疑をすっ飛ばし、今まで見たことのない「採決もどき」が強行されました。鴻池委員長は与党の1年生議員が築いた「人間かまくら」(有田芳生議員)の中に埋もれました。
人の山と怒号でわけのわからない中、安倍首相や中谷大臣は、そそくさと逃げ出すように退場。与党議員が何回か起立し、「強行採決もどき」が上演されました。報道によれば何と5回もの「採決」がなされたことになったそうです。
もちろん議事録に残せるはずもありません。これが「採決」であるわけがありません。

しかも、中継していたNHKは、すぐに「何らかの採決が行われた模様」「かなり短時間で採決が行われたと思います」などとひたすら追認コメント。そしてあっという間に、「安保法案 参院特別委で可決」との大見出しを打ちました。
事実関係を確認しないまま、あるいは確認した「事実」を説明しないまま、デタラメな「採決もどき」を既成事実化したのです。

しかも、すぐに佐藤正久筆頭理事(自民)へのインタビューを行い、可決を前提とする質問を繰り返しました。
当然ながら、続いてインタビューされた福山哲郎理事(民主)は、「可決はされてません。委員長が何を言ったか全くわからない、あんな暴力的なものが採決と認められるなら、日本の民主主義はどうなるのか!」と強く抗議しました。

20時10分に始まった参議院本会議は、既に中川雅治議運委員長の解任決議案を否決しました。今後、野党は参議院で中谷大臣、岸田大臣、安倍首相らの問責決議案、山崎正昭参議院議長の不信任案などを、さらには衆議院で内閣不信任案を提出する見込みです。

それに対して与党は、演説時間を10分以内に制限する動議を出そうとしています。

予断を許しませんが、戦争法案の採決は18日(金)の午後から夕方になると言われています。
本当にぎりぎりの局面ですが、今夜から明日にかけて、声を届けるべき9人のキーパーソン「違憲立法作らせ9(ナイン)」に、一つでも多くの声を届けてください。短いものでも構いません。

与党に対しては強い抗議を、民主党に対しては「あらゆる手段」を駆使するように。また、戦争法案を成立させる参議院本会議開会のベルを鳴らすことになる山崎正昭参議院議長にも、開会しないように要請してください。
なお、自民党議員には必ず党役職事務所と国会事務所の両方に送ってください。

時間がありませんが、大至急広めていただくように、そして自らも必ず要請していただくようにお願いします(今回はファックスと電話に絞りました)。

-----------------------------------

<違憲立法作らせ9(ナイン)>

【三権の長として、違憲の法案を採決するベルを鳴らさないでください!】

◆山崎正昭・参議院議長(福井/改選)
国会事務所
(FAX)03-6551-1201 (TEL)03-6550-1201

【抗議を!】

◆溝手顕正・自民党参議院議員会長(広島)
参議院議員会長室
(FAX)03-3580-1114
国会事務所
(FAX)03-6551-0028 (TEL)03-6550-0819

◆伊達忠一・自民党参議院幹事長(北海道)
参議院幹事長室
(FAX)03-3508-8772
国会事務所
(FAX)03-5156-8070 (TEL)03-6550-0612 

◆吉田博美・自民党参議院国対委員長(長野)
参議院国対委員長室
(FAX)03-3580-7774
国会事務所
(FAX)03-6551-0610 (TEL)03-6550-0610
(地元FAX)0265-36-6735 

◆魚住裕一郎・公明党参議院議員会長(比例)
国会事務所
(FAX)03-6551-0326 (TEL)03-6550-0326

◆西田実仁・公明党参議院幹事長(埼玉/改選)
国会事務所
(FAX)03-6551-1005 (TEL)03-6550-1005

【あらゆる手段で抵抗を(牛歩、長時間演説など)】

◆岡田克也・民主党代表(三重)
国会事務所
(FAX)03-3502-5047 (TEL)03-3508-7109

◆枝野幸男・民主党幹事長(埼玉)
国会事務所
(FAX)03-3591-2249 (TEL)03-3508-7448

◆榛葉賀津也・民主党参議院国対委員長(静岡)
国会事務所
(FAX)03-6551-0026 (TEL)03-6550-1011

-----------------------------------

◆自民、公明の地元議員にもぜひ働きかけてください。「賛成するなら次の選挙では支持しません」と強調してください。

全参議院議員名簿 http://sogakari.com/?p=594

-----------------------------------

【番外編】

<何が何だかわからない、議事録に残せない「強行採決もどき」を早々に「可決」と追認したNHKに猛抗議を!>
◆NHK
(TEL)0570-066-066(受付は9時~22時まで)
(メールフォーム) https://cgi2.nhk.or.jp/css/mailform/mail_form.cgi
(FAX)03-5453-4000
※電話がつながらない場合はメールやFAXで。

-----------------------------------

★本日18日は朝9時から国会正門前で座り込み・集会が、夕方18時30分からは大集会が行われます。駆けつけましょう!

 

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明日に向けて(1152)戦争法案を廃案へ!ただいま国会内外で激しく抵抗中!

2015年09月17日 11時30分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150917 11:30)

戦争法案をめぐって現在国会内外で激しい抵抗が行われています。昨夜から現在までの流れをまとめました。

与党は法案を審議してきた「参院平和安全法制特別委員会」で昨日、強行採決を行い、今日、参院本会議に法案を送ることを画策してきました。このため昨夜、特別委員会での採決に向けた締めくくり質疑を行おうとしました。
しかし野党議員たちが大挙おしかけて開会を阻止。これに対し鴻池祥肇(こうのいけよしただ)委員長が職権で17日午前0時10分から委員会開催と決めましたが、野党が抵抗を続け、結局午前3時半に理事会の休憩を宣言。理事会再会を17日8時50分としました。
ところが一夜明けると与党側は8時50分前に理事会室に入らず委員会室に入り、理事会の再会を宣言。野党は激しく抗議しましたがそのまま特別委員会の開会を宣言しました。

これに対し野党は鴻池委員長に対する不信任決議案を提出。こうなると再度、理事会に刺し戻されることになるのが手順なのですが、鴻池委員長は即座に自民党の筆頭理事で元防衛政務次官の佐藤正久議員に議長を委任し退席してしまいました。
佐藤正久議員は委員会を継続しようとしましたが、野党がさらに激しく抵抗。そのまま特別委員会は再び休憩となりました。現在も休憩が継続中で強行採決への流れが阻まれています。

国会の外では雨をついて数万の人々がかけつけて抗議行動を展開。全国各地から駆けつけている人々もかなりいるようです。人々のシュプレヒコールが国会内にも響き続けました。今朝も9時から抗議行動が再開されています。

与党はなぜ今日ないし明日中に参院本会議で強行可決したいのか。NHKは繰り返し次のように報じています。
参院の会期は28日まであります。しかし19日から24日までは大型連休があり、その後に審議のできる平日は25日、26日しかありません。もし今週末までに強行可決ができないと大型連休中に国会周辺をはじめとした反対行動がさらに大きくなってしまう。
そうなると「不測の事態」が発生して可決ができなくなるかもしれない。そのためになんとしても連休前に可決したがっているというのです。民衆のデモの拡大こそが恐れられているのです!
ここが重要なポイントです。この間、政府よりの人々が繰り返し「デモは無力」だのなんのと繰り返してきましたが、とんでもない。与党は明確に抵抗行動を恐れています。相当にです。だからあと2日での強行採決を欲しているのです。

民衆の側が政権を圧倒しつつあります。
この点をしっかりと踏まえて、戦争への道への抵抗を続けていきましょう!

コメント (1)
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明日に向けて(1151)SEALDs奥田愛基さんの発言が素晴らしい!戦争法案は廃棄すべきだ!

2015年09月15日 17時30分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150915 17:30)

戦争法案反対の声が全国に鳴り響いています。
にもかかわらず、安倍政権と与党自民党・公明党はこれだけの反対の声を無視して採決に走ろうとしています。
まったく許しがたい暴挙です。

これに対し、この間の民衆的うねりの最先頭で奮闘してきたSEALDsの奥田愛基さんが国会で意見陳述を行いました。素晴らしいの一言です。全国でデモに立っている多くの人々の声を代弁するものです。
ぜひこの発言を広げたいと思い、全文を掲載することにしました。なお書き起こしをしてくださったのはIWJです。貴重な活動に感謝しつつ転載させていただきます。みなさんぜひお読み下さい。戦争への道を食い止めるため、さらに頑張りましょう!

*****

9月15日中央公聴会、奥田愛基さん意見陳述全文
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/264668

「ご紹介に預かりました、大学生の奥田愛基といいます。

 『SEALDs』という学生団体で活動しております。

 すみません、こんなことを言うのは非常に申し訳ないのですが、先ほどから寝ている方が沢山おられるので、もしよろしければお話を聞いていただければと思います。僕も二日間くらい緊張して寝られなかったので、僕も帰って早く寝たいと思っているので、よろしくお願いします。

 初めに『SEALDs』とは、”Student Emergency Action for Liberal Democracy”。日本語で言うと、自由と民主主義のための学生緊急行動です。

 私たちは特定の支持政党を持っていません。無党派の集まりで、保守、革新、改憲、護憲の垣根を超えて繋がっています。最初はたった数十人で立憲主義の危機や民主主義の問題を真剣に考え、5月に活動を開始しました。

 その後、デモや勉強会、街宣活動などの行動を通じて、私たちが考える国のあるべき姿や未来について、日本社会に問いかけてきたつもりです。

 こうした活動を通して、今日、貴重な機会をいただきました。今日、私が話したいことは3つあります。1つは、今、全国各地でどのようなことが起こっているか。人々がこの安保法制に対してどのように声を上げているか。

 2つ目はこの安保法制に関して現在の国会はまともな議論の運営をしているとは言いがたく、あまりにも説明不足だということです。端的に言って、このままでは私たちはこの法案に関して、到底納得することができません。

 3つ目は政治家の方々への、私からのお願いです。

 まず第一にお伝えしたいのは、私たち国民が感じている、安保法制に関する大きな危機感です。この安保法制に対する疑問や反対の声は、現在でも日本中で止みません。つい先日も国会前では10万人を超える人が、集まりました。

 しかし、この行動はなにも東京の、しかも国会前(だけ)で行われているわけではありません。

 私たちが独自にインターネットや新聞などで調査した結果、日本全国2000ヶ所以上、数千回を超える抗議が行わわれています。累計して130万人以上の人が路上に出て声をあげています。

 この私たちが調査したものやメディアに流れているもの以外にも、沢山の集会があの町でもこの町でも行われています。まさに、全国各地で声があがり人々が立ち上がっているのです。

 また、声を上げずとも、疑問に思っている人はその数十倍もいるでしょう。

 強調しておきたいことがあります。それは、私たちを含め、これまで、政治的無関心と言われてきた若い世代が動き始めているということです。これは誰かに言われたからとか、どこかの政治団体に所属しているからとか、いわゆる動員的な発想ではありません。

 私たちはこの国の在り方について、この国の未来について、主体的に一人ひとり、個人として考え、立ち上がっているのです。

 SEALDsとして活動を始めてから、誹謗中傷に近いものを含む、さまざまな批判の言葉を投げかけられました。

 例えば『騒ぎたいだけだ』とか、『若気の至り』だとか、そういった声があります。他にも『一般市民のくせにして、何を一生懸命になっているのか』というものもあります。つまり、『お前は専門家でもなく学生なのに、もしくは主婦なのに、お前はサラリーマンなのに、フリーターなのに、なぜ声をあげるのか』ということです。

 しかし、先ほどもご説明させていただきましたように、私たちは一人一人、個人として声をあげています。不断の努力なくして、この国の憲法や民主主義、それらが機能しないことを自覚しているからです。

 『政治のことは選挙で選ばれた政治家に任せておけばいい』。この国にはどこか、そういう空気感があったように思います。

 それに対し私、私たちこそがこの国の当事者、つまり主権者であること、私たちが政治について考え、声をあげることは当たり前なんだということ、そう考えています。

 その当たり前のことを当たり前にするために、これまでも声を上げてきました。そして2015年9月現在、今やデモなんてものは珍しいものではありません。路上に出た人々がこの社会の空気を変えていったのです。

 デモや至るところで行われた集会こそが『不断の努力』です。そうした行動の積み重ねが基本的人権の尊重、平和主義、国民主権といった、この国の憲法の理念を体現するものだと私は信じています。

 私は、私たち一人ひとりが思考し、何が正しいのかを判断し、声をあげることは、間違っていないと確信しています。また、それこそが民主主義だと考えています。

 安保法制に賛成している議員の方々も含め、戦争を好んでしたい人など誰もいないはずです。

 私は先日、予科練で特攻隊の通信兵だった方と会ってきました。70年前の夏、あの終戦の日、20歳だった方々は、今では90歳です。ちょうど今の私やSEALDsのメンバーの年齢で戦争を経験し、そして、その後の混乱を生きてきた方々です。

 そうした世代の方々も、この安保法制に対し、強い危惧を抱かれています。私はその声をしっかりと受け止めたいと思います。そして議員の方々も、どうかそうした危惧や不安をしっかり受け止めてほしいと思います。

 今、これだけ不安や反対の声が広がり、説明不足が叫ばれる中での採決は、そうした思いを軽んじるものではないでしょうか。70年の不戦の誓いを裏切るものではないでしょうか。

 今の反対のうねりは、世代を超えたものです。70年間、この国の平和主義の歩みを、先の大戦で犠牲になった方々の思いを引き継ぎ、守りたい。その思いが私たちを繋げています。

 私は今日、そのうちのたった一人として、ここで話をしています。つまり、国会前の巨大な群像の中の一人として、国会にきています。

 第二に、この法案の審議に関してです。

 各世論調査の平均値を見たとき、初めから過半数近い人々は反対していました。そして、月を追うごと、反対世論は拡大しています。『理解してもらうためにきちんと説明していく』と現政府の方はおっしゃられておりました。

 しかし説明した結果、内閣支持率は落ち、反対世論は盛り上がり、この法案への賛成の意見は減りました。

 選挙の時に集団的自衛権に関してすでに説明した、とおっしゃる方々もいます。しかしながら自民党が出している重要政策集では、アベノミクスに関しては26ページ中8ページ近く説明されていましたが、それに対して、安全保障関連法案に関してはたった数行でしか書かれていません。

 昨年の選挙でも、菅官房長官は『集団的自衛権は争点ではない』と言っています。さらに言えば、選挙の時に国民投票もせず、解釈で改憲するような違憲で法的安定性もない、そして国会の答弁をきちんとできないような法案を作るなど、私たちは聞かされていません。

 私には、政府は法的安定性の説明することを途中から放棄してしまったようにも思えます。憲法とは国民の権利であり、それを無視することは国民を無視するのと同義です。

 また、本当に与党の方々は、この法律が通ったらどんなことが起こるのか、理解しているのでしょうか、想定しているのでしょうか。先日言っていた答弁とはまったく違う説明を翌日に平然とし、野党からの質問に対しても国会の審議は何度も何度も速記が止まるような状況です。

 このような状況で一体、どうやって国民は納得したらいいのでしょうか。

 SEALDsは確かに注目を集めていますが、現在の安保法制に対して、その国民的な世論を私たちが作り出したのではありません。もし、そう考えていられるのでしたら、それは残念ながら過大評価だと思います。

 私の考えでは、この状況を作っているのは紛れもなく、現在の与党のみなさんです。つまり、安保法制に関する国会答弁を見て、首相のテレビでの理解し難い例え話を見て、不安を感じた人が国会前に足を運び、また、全国各地で声を上げ始めたのです。

 ある金沢の主婦の方がFacebookに書いた国会答弁の文字起こしは、瞬く間に1万人もの人にシェアされました。ただの国会答弁です。普段なら見ないようなその書き起こしを、みんなが読みたがりました。

 なぜなら、不安だったからです。

 今年の夏までに武力行使の拡大や集団的自衛権の行使の容認を、なぜしなければならなかったのか。それは、人の生き死にに関わる法案でこれまで70年間、日本が行ってこなかったことでもあります。

 一体なぜ、11個の法案を2つにまとめて審議したか、その理由もよく分かりません。一つひとつ審議しては駄目だったのでしょうか。まったく納得が行きません。

 結局、説明をした結果、しかも国会の審議としては異例の9月末まで延ばした結果、国民の理解を得られなかったのですから、もう、この議論の結論は出ています。

 今国会での可決は無理です。廃案にするしかありません。

 私は毎週、国会前に立ち、この安保法制に対して抗議活動を行ってきました。そして沢山の人々に出会ってきました。その中には自分のおじいちゃんやおばあちゃん世代の人や、親世代の人、そして最近では自分の妹や弟のような人たちもいます。

 確かに若者は政治的に無関心だといわれています。しかしながら、現在の政治状況に対して、どうやって彼らが希望を持つことができるというのでしょうか。関心が持てるというのでしょうか。

 私は彼らがこれから生きていく世界は、相対的貧困が5人に1人といわれる、超格差社会です。親の世代のような経済成長も、これからは期待できないでしょう。今こそ、政治の力が必要なのです。

 どうかこれ以上、政治に対して絶望をしてしまうような仕方で議会を運営するのはやめてください。

 何も賛成からすべて反対に回れと言うのではありません。私たちも安全保障上の議論は非常に大切なことを理解しています。その点について異論はありません。しかし、指摘されたこともまともに答えることができないその態度に、強い不信感を抱いているのです。

 政治生命をかけた争いだとおっしゃいますが、政治生命と国民一人ひとりの生命を比べてはなりません。与野党の皆さん、どうか若者に希望を与える政治家でいてください。国民の声に耳を傾けてください。まさに、『義を見てせざるは勇なきなり』です。

 政治のことをまともに考えることが馬鹿らしいことだと思わせないでください。現在の国会の状況を冷静に把握し、今国会での成立を断念することはできないのでしょうか。

 世論の過半数を超える意見は、明確にこの法案に対し、今国会中の成立に反対しているのです。自由と民主主義のためにこの国の未来のために、どうかもう一度考えなおしてはいただけないでしょうか。

 私は単なる学生であり、政治家の先生方に比べ、このようなところで話すような立派な人間ではありません。もっと言えば、この場でスピーチすることも、昨日から寝られないくらい緊張してきました。政治家の先生方は毎回このようなプレッシャーに立ち向かっているのだと思うと、本当に頭が下がる思いです。

 一票一票から国民の思いを受け、それを代表し、この国会という場所で毎回答弁をし、最後には投票により法案を審議する。本当に本当に、大事なことであり、誰にでもできることではありません。それは貴方たちにしかできないことなのです。

 では、なぜ私はここで話しているのか。どうしても勇気をふり絞り、ここにこなくてはならないと思ったのか。それには理由があります。

 参考人としてここにきてもいい人材なのか分かりませんが、参考にしてほしいことがあります。

 ひとつ、仮にこの法案が強行に採決されるようなことがあれば、全国各地でこれまで以上に声が上がるでしょう。連日、国会前は人で溢れかえるでしょう。次の選挙にも、もちろん影響を与えるでしょう。

 当然、この法案に関する野党の方々の態度も見ています。本当にできることはすべてやったのでしょうか。私たちは決して、今の政治家の方の発言や態度を忘れません。

 『三連休を挟めば忘れる』だなんて、国民を馬鹿にしないでください。むしろ、そこからまた始まっていくのです。新しい時代はもう始まっています。もう止まらない。すでに私たちの日常の一部になっているのです。

 私たちは学び、働き、食べて、寝て、そしてまた路上で声を上げます。できる範囲で、できることを、日常の中で。

 私にとって政治のことを考えるのは仕事ではありません。この国に生きる個人としての不断の、そして当たり前の努力です。私は困難なこの4ヶ月の中でそのことを実感することができました。それが私にとっての希望です。

 最後に、私からのお願いです。SEALDsの一員ではなく、個人としての、一人の人間としてのお願いです。

 どうか、どうか政治家の先生たちも、個人でいてください。政治家である前に、派閥に属する前に、グループに属する前に、たった一人の『個』であってください。自分の信じる正しさに向かい、勇気を持って孤独に思考し、判断し、行動してください。

 みなさんには一人ひとり考える力があります。権利があります。政治家になった動機は人それぞれ様々あるでしょうが、どうか、政治家とはどうあるべきなのかを考え、この国の民の意見を聞いてください。

 勇気を振り絞り、ある種、賭けかもしれない、あなたにしかできないその尊い行動を取ってください。日本国憲法はそれを保障し、何より日本国に生きる民、一人ひとり、そして私はそのことを支持します。

 困難な時代にこそ希望があることを信じて、私は自由で民主的な社会を望み、この安全保障関連法案に反対します。

 2015年9月15日、奥田愛基。ありがとうございました」

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明日に向けて(1150)【再掲】東京は世界一危ない都市・・・警鐘「首都沈没」(東京新聞より)-2

2015年09月12日 12時00分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150912 12:00)

前回からの続きです。

江戸時代に日本でユニークで地域の自主性を尊重した河川管理方法がとられていたことに対して、西洋のテクノロジーは、中央の一元管理のもとに自然を制覇する志向性を持っていました。
その多くは日本と条件がまったく異なるヨーロッパで生まれたものであり、ライン川などのように傾斜がずっと緩い中での技術体系であったにもかかわらず直輸入されました。
そのために起こったのは、洪水に対して、適度に越流させて、エネルギーを分散させて凌いでいくという発想から、巨大な堤防を築いて、洪水をおしとどめる方向性への大転換でした。
そのことでどうなったのか。洪水を抑え込む堤防を作ることでやがて「想定外」の洪水に襲われ、堤防決壊という大惨事が起きました。
すると堤防をさらに巨大化させて洪水を抑え込む方法がとられました。その結果、利根川はよりたくさんの流量を抱え込み、決壊したときの洪水の規模が大きくなるばかりでした。

これを促進してしまったのが、鉄道輸送の発達による菱垣廻船で作られていた輸送システムの後退でした。川を菱垣廻船が遡行していくためには、流量の安定が必要で、そのためにも巨大堤防を作ることは江戸時代には考えられもしなかったからでした。
ところが水路としての川の位置性が落ちてしまったため、ますます利根川は大きな流量を抱え込むことになり、一度決壊したらとんでもない災害をもたらす連続堤防を作り出すに至ってしまったのです。
このためかつてない規模の水が利根川を流れており、しかもテクノロジーそのものが「決壊はあってはならない」とする封じ込め型の発想なので、堤防が破堤したときの対策がないのです。
破堤は「あってはならないこと」になっており、だから一度発生すれば大惨事に発展するのです。

さらに昭和にいたって工業化が始まり、膨大な地下水が汲み上げられて、東京湾岸の広い地域の地盤が沈下し、ゼロメートル地帯が拡大したことも危険性を広げてきました。
ところがこうした近代テクノロジーの採用の下での新たなリスクの発生は、常に何時しかテクノロジー自身が進化し、乗り越えられるものとしてのみ想定され、リスクを考慮しない開発に拍車がかけられてきてしまいました。

これが放射能汚染をまったく考えなくても、東京が世界で一番危険な都市であるとされる所以です。問題は自然災害の多いこの国において、災害のすべてをテクノロジーで抑え込もうとしてきた近代主義的な発想の限界にあります。
あるいはこの間の自然条件の変異、異常気象の多発が、このテクノロジーの限界を浮き彫りにさせているとも言えます。
これを加速させてきたのがテクノロジーへの過信であり、リスクはいつかは越えられるとする安易な発想であり、その結末としての、巨大事故の発生のリスクを見据えようとせず、自らに都合のいいことばかりしか考えなくなってしまった昨今の風潮です。

その最も顕著な例が原子力における安全神話です。自らに都合の悪いことは全て無視し、他者に対していやおそらくは己に対してすら平気で大嘘をついて事態を乗り越えようとする、モラルを著しく欠いた安倍政権の存在がこの危険性を著しく拡大しています。
だからこそ私たちは、近代の末期において出現しているこのモラルを失った安全神話、危険から目をそらして都合のいい未来ばかりを考えていく発想とこそ対決しなければなりません。

そのために私たちは、自ら主体的に私たちを取り囲む危機と対峙し、いざというときの身構えを作り出すとともに、社会のあり方をさまざまなところで論議し直し、私たちの命と平和、未来世代の安全と可能性を守っていく努力を払い続けるべきです。
土屋さんの提言から引用すれば、まずは次のような対処から始めるのが大切です。いわく「防災グッズの中にライフジャケットを一つ入れるだけでいい。なければポットボトルや発泡スチロールでもいい。それが命を繋げる」。

それらからも世界一危険な都市での東京オリンピックの開催などはやめて、東京の安全や東北・関東の安全を、水害からも原子力災害からも放射能からも守っていくことに全力を集中させるべきだし、同じ発想で全国で安全確保の取り組みを強化すべきです。
さしあたっての原発の再稼働を止める取り組みも、こうした総体としての社会方向の転換の中に位置づけていくことが問われています。

以下、東京新聞の記事を貼り付けますのでご覧下さい。

*****


「東京は世界一危ない都市 警鐘『首都沈没』」
東京新聞2014/09/07 (なおブログ「大友涼介です」での書き起こしより転載させていただきました。大友さんに感謝いたします)
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11921408895.html

東京を壊滅させるには堤防を一カ所壊すだけで十分。こんな恐ろしい警告を発している人がいる。元東京都職員の土木専門家、土屋信行(64)。
「洪水対策は国家の安全保障」と主張する。いったいどういうことなのか。(沢田千秋記者)

土屋氏は一九七五年、都庁に入庁・江戸川区土木部長や本庁の道路建設部街路部長などを務めた。二〇一一年の退職まで、区画整理や道路建設を手掛け、東京の地形的特徴を知り尽くした人物だ。そんな土屋氏が「東京は世界一危ない都市だ」と断言する。
土屋氏は、スイスの保険会社がまとめた「自然災害リスクが高い都市ランキング」を引用。世界六百十六都市のうち、世界一危険な地域は、東京、横浜の首都圏だった。
首都圏は、洪水、嵐、高潮、地震、津波で、五千七百万人が影響を受けると想定している。土屋氏は「このままでは、首都は必ず水没する。今は運がいいだけ」と話す。

関東平野は山に囲まれ、北西の山裾から南東方向に緩く傾斜し、東京湾に向かっている。「つまり、洪水が起きたら水が集まる場所に首都東京がある」。
最大の危険地域は海抜ゼロメートル地帯。明治以降、工業用水の確保と地下の天然ガス採取のため、大量の地下水が汲み上げられ、猛烈な勢いで地盤が沈下。
干潮時のゼロメートル地帯は江戸川区、葛飾区、江東区、墨田区、満潮時は足立、北区、荒川区、台東区にまで及ぶ。

江東区南砂や江戸川区松島の海抜は、干潮時でも川の水面より低い。浸水を防いでいる荒川や隅田川堤防も、一部は厚さが三十センチ程度しかない「かみそり堤防」で、土屋氏は「非常に脆い」と指摘する。
東京では昨年、大阪の三倍にあたる百十六回のゲリラ豪雨が発生したといい、「土の堤防は多量の雨を含んだら壊れる。洪水は今、たまたま起きていないだけで、もういつ起こってもおかしくない」という。

加えて、都市ならではの脅威が地下の存在。政府の中央防災会議のシミュレーションによると、北区志茂で荒川の堤防が午前零時に決壊した場合、洪水は十一分後に東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅に到達し、地下トンネルを流れ始める。
六時間で西日暮里駅、九時間で上野駅、十二時間で東京駅、十五時間で霞が関や六本木駅に達し、最終的に十七路線九一七駅が水没する。
電力や通信網が走るトンネルも網の目のように、地価に張り巡らされている。「地下の大動脈の水没は日本経済に多大な損害を与える」
土屋氏は、「日本を攻撃するのに、軍隊も核兵器も必要ない。無人機が一機、大潮の満潮時にゼロメートル地帯の堤防を一カ所破壊すれば、日本は機能を失う」と警告する。

土屋氏の祖父は昭和初期、新潟県で信濃川の治水作業中に倒れ、死の間際「われ郷のために死す」と遺言した。
土屋氏自身、五十歳の時に進行性の肝炎を発症。常に死を意識する中、「水害で人命が奪われない都市にしたい」と、首都の水害研究に傾注。著書「首都水没」(文春新書)にまとめた。
「脅すようなことを言うのも、耳を傾けてもらうため。水害は地方の災害と思ってる東京の人があまりに多い。危ない場所に住んでいることを自覚して欲しい」

地球温暖化で海面が上昇し、降雨強度も増している。土屋氏は首都圏の住民に呼び掛ける。「防災グッズの中にライフジャケットを一つ入れるだけでいい。なければポットボトルや発泡スチロールでもいい。それが命を繋げる」。

連載終わり

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