守田です。(20120718 09:00)
山形のホテルからです。
今回は大槌での放射線測定について書いておきます。
・・・山形での情報がすでに僕の頭の中に入ってきていて、いつもながら
インプットが圧倒的に過剰で、アウトプットしきれできないもどかしさを
感じているのですが。
さて、今回の大槌訪問の受け入れ先になってくださったのは、地元のNPO
「ぐるっとおおつち」さんでした。大震災前からあったNPOで、10人の
理事のうち、4人が津波で亡くなられています。ぐるっとおおつちは、
京都OHANAプロジェクトの自転車届けに協力してくださり、その後は
復興してきた地元の自転車屋さんとプロジェクトのつなぎ役なども
なさってくださっています。
さて今回、僕は新幹線で新花巻まで行き、そこから釜石線にのって
釜石まで行きました。朝6時27分京都発、13時33分釜石着の予定でしたが、
電車が釜石直前で鹿をはねたため、到着が10分遅れました。
はねられた鹿はかわいそうですが、こうして鹿が人間の生活圏内に下りて
きてしまうことは全国で頻発している現象です。温暖化が原因で、越冬が
容易になり、山のえさを食べつくしてしまうためです。このため全国、
いたるところで鹿の食害が増えており、それはそれで問題なのですが、
今の僕には向き合う余裕がありません。
釜石について、友人のアビスさんと合流しました。車で来てくれていて、
今回の大槌訪問に同行していただきました。釜石から大槌までは車で15分ほど。
まずは宿泊拠点になる「大槌きらベース」について、チェックインしました。
チェックインといっても、1階が津波で使えなくなった小学校の大教室に
雑魚寝で、事前の申請に基づき、到着を報告するだけです。
ここで「ぐるっとおおつち」スタッフの方に迎えていただき、事務所を経て、
早速、放射線計測に向かいました。僕がお話しする講演会場と、相談会を
ひらく仮設住宅、また合同になっている小中学校で測りましたが、人々が出入り
する場所ではそれほど高い値は出ませんでした。いずれも0.1μS/h台ですが、
計測器がロシア製のRADEX1503と1706で、低線量ではそれほど正確では
ないので、問題は感じませんでした。
しかし近くの民家の、樋から雨が落ちてくるようなところはやはり数値が
あがります。もっとも高い値で0.27μS/hでした。学校でも、フェンス脇
で泥がたまっているところや、周辺の側溝ではこれに近いような数字が
出てきます。
最も高かったのは吉里吉里の吉祥寺さんの境内でした。大きな屋根から水が
落ちてくるところがマイクロホットスポットになっており、一番高いところで
0.50μS/hの値が出ていました。その地点だけ泥をよけた方がよいと和尚さん
に進言しました。
実は大槌町は、山の一部が入山禁止になっています。このことではじめて
町の人々が放射能の存在を知った感が強いのですが、僕が大槌の人々と一緒に
行った計測でも、このようにはっきりと放射能の存在が感じられました。
原発から230キロの大槌の町にも確実に放射能が降っているのです。
訪問の前に水産物のチェックも行いました。水産庁のHPから拾ったデーター
で計測が甘い可能性がありますが、それでも参考になります。
岩手県内はもっとも多く放射能が降ったのは一関市界隈で、それに続いて
奥州市が線量が高いのですが、このため水産物ではウグイ、ヤマメなどの
川魚から高い値のセシウムが計測されています。
現在の「限度値」の1kgあたり100ベクレル以下という規制を超える
魚も非常に多い。要注意です。
海のものではやはり底ものが危ない。最も高い値を出していたのは、釜石沖
のクロソイで同400ベクレルが出ている。6月1日の測定値です。
ただしすべてのクロソイがあぶないというわけではなく、中には検出限界未満の
ものもあります。ここには海の中にもマイクロホットスポットがあることを
疑わせます。
このほかに数値が高いのはやはり底の方にいるマダラ。大船渡市沖で5月11日に
98ベクレルが計測されています。注目すべきは、三陸海岸で最も青森よりの
久慈市沖でとれたマダラからも83ベクレルが検出されていることです。6月1日
のデータです。
他には釜石市沖のヒラメから7月6日に36ベクレルが、岩手県沖と表示された
もので6月29日に39ベクレルが検出されています。
一方で検出限界未満を示している魚も非常にたくさんあります。この中には
上述のクロソイやマダラやヒラメも入ります。そのため川魚であるウグイなどは
岩手県内では危ないものが多いといえますが、海の魚はかなりばらつきが
ある。汚染がまだらなためだと思います。このため三陸海岸の魚はいちように
危ないということはないです。測れば食べられる魚もまだ多数あります。
その点でも精度の高い測定を行い、食べられるものをどんどん公表していくことに
意義があるとも思います。
なおこれらのデータは以下からみることができます。
放射線値の測り方など、どこまできちんとされているか確かめる必要があるとは
思っていますが、目安として参考になると思います。岩手県に限らず、多くの県の
データが出ています。ぜひ分析を進めたいと思っています。
水産物の放射性物質調査の結果について~7月17日更新~
http://www.jfa.maff.go.jp/j/sigen/housyaseibussitutyousakekka/index.html
これらから分かるのは、三陸海岸にも確実に汚染が迫ってきているという事実です。
しかしにわかに避難しなければならないほどではない。放射性物質の存在を
しっかりと浮き立たせ、対策をとることが大事だと思います。そのためには
市民の意識喚起と測定を同時に進めていくことが大切です。
僕自身、これにどう関われるか、模索を続けたいと思います。
大槌の放射線値に関する報告をひとまず閉じます。
山形のホテルからです。
今回は大槌での放射線測定について書いておきます。
・・・山形での情報がすでに僕の頭の中に入ってきていて、いつもながら
インプットが圧倒的に過剰で、アウトプットしきれできないもどかしさを
感じているのですが。
さて、今回の大槌訪問の受け入れ先になってくださったのは、地元のNPO
「ぐるっとおおつち」さんでした。大震災前からあったNPOで、10人の
理事のうち、4人が津波で亡くなられています。ぐるっとおおつちは、
京都OHANAプロジェクトの自転車届けに協力してくださり、その後は
復興してきた地元の自転車屋さんとプロジェクトのつなぎ役なども
なさってくださっています。
さて今回、僕は新幹線で新花巻まで行き、そこから釜石線にのって
釜石まで行きました。朝6時27分京都発、13時33分釜石着の予定でしたが、
電車が釜石直前で鹿をはねたため、到着が10分遅れました。
はねられた鹿はかわいそうですが、こうして鹿が人間の生活圏内に下りて
きてしまうことは全国で頻発している現象です。温暖化が原因で、越冬が
容易になり、山のえさを食べつくしてしまうためです。このため全国、
いたるところで鹿の食害が増えており、それはそれで問題なのですが、
今の僕には向き合う余裕がありません。
釜石について、友人のアビスさんと合流しました。車で来てくれていて、
今回の大槌訪問に同行していただきました。釜石から大槌までは車で15分ほど。
まずは宿泊拠点になる「大槌きらベース」について、チェックインしました。
チェックインといっても、1階が津波で使えなくなった小学校の大教室に
雑魚寝で、事前の申請に基づき、到着を報告するだけです。
ここで「ぐるっとおおつち」スタッフの方に迎えていただき、事務所を経て、
早速、放射線計測に向かいました。僕がお話しする講演会場と、相談会を
ひらく仮設住宅、また合同になっている小中学校で測りましたが、人々が出入り
する場所ではそれほど高い値は出ませんでした。いずれも0.1μS/h台ですが、
計測器がロシア製のRADEX1503と1706で、低線量ではそれほど正確では
ないので、問題は感じませんでした。
しかし近くの民家の、樋から雨が落ちてくるようなところはやはり数値が
あがります。もっとも高い値で0.27μS/hでした。学校でも、フェンス脇
で泥がたまっているところや、周辺の側溝ではこれに近いような数字が
出てきます。
最も高かったのは吉里吉里の吉祥寺さんの境内でした。大きな屋根から水が
落ちてくるところがマイクロホットスポットになっており、一番高いところで
0.50μS/hの値が出ていました。その地点だけ泥をよけた方がよいと和尚さん
に進言しました。
実は大槌町は、山の一部が入山禁止になっています。このことではじめて
町の人々が放射能の存在を知った感が強いのですが、僕が大槌の人々と一緒に
行った計測でも、このようにはっきりと放射能の存在が感じられました。
原発から230キロの大槌の町にも確実に放射能が降っているのです。
訪問の前に水産物のチェックも行いました。水産庁のHPから拾ったデーター
で計測が甘い可能性がありますが、それでも参考になります。
岩手県内はもっとも多く放射能が降ったのは一関市界隈で、それに続いて
奥州市が線量が高いのですが、このため水産物ではウグイ、ヤマメなどの
川魚から高い値のセシウムが計測されています。
現在の「限度値」の1kgあたり100ベクレル以下という規制を超える
魚も非常に多い。要注意です。
海のものではやはり底ものが危ない。最も高い値を出していたのは、釜石沖
のクロソイで同400ベクレルが出ている。6月1日の測定値です。
ただしすべてのクロソイがあぶないというわけではなく、中には検出限界未満の
ものもあります。ここには海の中にもマイクロホットスポットがあることを
疑わせます。
このほかに数値が高いのはやはり底の方にいるマダラ。大船渡市沖で5月11日に
98ベクレルが計測されています。注目すべきは、三陸海岸で最も青森よりの
久慈市沖でとれたマダラからも83ベクレルが検出されていることです。6月1日
のデータです。
他には釜石市沖のヒラメから7月6日に36ベクレルが、岩手県沖と表示された
もので6月29日に39ベクレルが検出されています。
一方で検出限界未満を示している魚も非常にたくさんあります。この中には
上述のクロソイやマダラやヒラメも入ります。そのため川魚であるウグイなどは
岩手県内では危ないものが多いといえますが、海の魚はかなりばらつきが
ある。汚染がまだらなためだと思います。このため三陸海岸の魚はいちように
危ないということはないです。測れば食べられる魚もまだ多数あります。
その点でも精度の高い測定を行い、食べられるものをどんどん公表していくことに
意義があるとも思います。
なおこれらのデータは以下からみることができます。
放射線値の測り方など、どこまできちんとされているか確かめる必要があるとは
思っていますが、目安として参考になると思います。岩手県に限らず、多くの県の
データが出ています。ぜひ分析を進めたいと思っています。
水産物の放射性物質調査の結果について~7月17日更新~
http://www.jfa.maff.go.jp/j/sigen/housyaseibussitutyousakekka/index.html
これらから分かるのは、三陸海岸にも確実に汚染が迫ってきているという事実です。
しかしにわかに避難しなければならないほどではない。放射性物質の存在を
しっかりと浮き立たせ、対策をとることが大事だと思います。そのためには
市民の意識喚起と測定を同時に進めていくことが大切です。
僕自身、これにどう関われるか、模索を続けたいと思います。
大槌の放射線値に関する報告をひとまず閉じます。