明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(505)岩手県大槌町を訪問します!(7月14日、15日)

2012年07月06日 11時30分00秒 | 明日に向けて(501)~(600)
守田です。(20120706 11:30)

来週のことになりますが、岩手県大槌町を訪問します!7月14日、15日のこと
です。大槌町には僕は昨年8月20日、21日にも訪問しています。このときは
京都OHANAプロジェクトの、中古自転車を仮設住宅に届ける旅でした。約120台
の自転車を届け、仮設住宅で二度の抽選会を行って、みなさんにお渡しするこ
とができました。このときの様子が以下の動画で見れます。記事もたくさん
書いたので貼り付けておきます。

京都OHANAプロジェクト 第二弾企画の模様
http://www.youtube.com/watch?v=KkAXWDBMg8U

明日に向けて(238)自転車を手にして笑顔が満開!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3634a0e157b30a038ad37701f52697cb

明日に向けて(239)釜石の熱い夜
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/5eee743ee81e16c5f78a016a567ec8b0

明日に向けて(240)大槌でのたくさんの出会いに感謝し、陸前高田・気仙沼に
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/6c38d5e5ae1629a33a92965f6bcdd679

今回の訪問も、京都OHANAプルジェクトの一環として、届けた自転車のメンテ
ナンス、ないしアフターフォローを行う旅なのですが、今回は同時に、放射能
に関する講演も頼んでいただけました。そのため、14日、15日ともに午前10時
から、講演会を行い、両日とも午後1時半から、それぞれ仮設住宅の近くにある
集会所で、「放射能なんでも相談会」を開きます。


宮城県から岩手県にまたがる三陸海岸などの海岸線は、ご存知のように、大津
波によって大変な被害がでた地域です。
亡くなった方、近親者を失った方もたくさんおられます。近しい人は無事でも
家がまるまる無くなってしまった方、仕事や職場そのものを無くしてしまった
方など、本当にたくさんの悲しみが生まれました。そのためこれらの地域では
何をおいても、心身の痛みを癒し、生活を少しずつ再建していくことが問われ
てきました。

このため、昨年、僕がこの付近を訪れたときに、放射能については、気にはな
るものの、考えている余裕はないという話が聞かれました。実際それが三陸海
岸の多くの方の気持ちであるように僕も感じ、放射能について、語る機会がな
いことは気にせずに、人々からの聴き取りや、物資の配布、自転車配りなどを
優先しました。まずはそれで、少しでも生活を良くしてもらいたいと思いました。

ところが今年になり、あの大震災から1年の日を向かえ、多くの方が、行方不明
だった方の葬儀もすまさせるなどして、徐々に気持ちの入れ替えを進められる
中、三陸海岸の各地で、「だんだんと放射能汚染が見え出してきた」という話
が、こちらにも届いてきました。

例えば5月に仙台に訪れたときに、「守田さん。海岸沿いの漁民のみなさんが壊
滅状態です」というお話をある方から聞きました。それによると、津波被害を
乗り越えて、再び漁に乗り出した方たちの漁場に放射能汚染が見え出し、漁が
危機になっているというのです。詳しくどの地点でのお話かお聞きできません
でしたが、胸がつぶれる思いがしました。

昨年、大槌を訪れたとき、海に戻った漁師の方は大雑把に2割ぐらいとお聞き
しました。漁船は安くとも2000万円以上はするそうで、とても今の状態で一軒
の家で買うことはできない。何軒か集まってもう一度、漁に乗り出すか、漁師
をやめるか思案中だというお話も聞きました。おそらくこれと似たような話が、
三陸海岸の多くの地域でおこり、ある方たちは船を買い、ある方たちは違う
何かに転進され・・・ということが進んできたのではないでしょうか。

ところがこれらの方たちが船を買うとき、魚の放射線規制値(限度値)は
1キログラム500ベクレルでした。その規制値は、この春、100ベクレル
に下げられた。それで宮城県のある地域で、再開した漁が大ピンチになって
しまったというお話を聞きました。

もちろん、僕はこの場合、限度値が100ベクレルに下げられたことが悪いの
だとは思いません。それどころか100ベクレルも非常に緩く、危険な値であ
り、一桁以下、大人8ベクレル、子ども4ベクレルにまで下げることが必要
なのです。

では何が問題だったのか。最初から500ベクレルなどというとんでもない
値を出すべきではなかったのですが、その点を1000歩ゆずったとしても、
最低でも、500ベクレルという規制値は、非常に甘く、危険な値であるため、
しばらく後に大幅に下げるつもりであるということを、明らかにすべきだった
のです。そうすれば、大金をはたいて船を買いなおして、漁に戻り、すぐさま
「壊滅的な状況」に立ち至ることなどなかったのではないでしょうか。


大槌町はどうでしょうか。現地からの詳しい情報を僕はまだ得ていませんが、
山の幸から高い値の汚染がすでに見つかっていると聞いています。しかも実は
それは最近のことではなく、昨年の夏辺りからのことだったのだそうです。山か
ら採取された腐葉土から放射能が検出されたため、この仕事が中止させられて
いたのです。しかしその事実は、長い間、町の人々に知らされていませんでした。

そうした事実がだんだんに明らかになってくる中で、子育て世代の方たち、とく
に若いお母さんたちの危機意識が高まり、放射能の話を聞きたいという機運が高
まっているというのです。町が津波被害から立ち上がろうとしたときに、放射能
の壁が見え出してきたように思えて、胸が痛いです。

そこで一体、どうすればいいのか。何が可能なのか。事前の調査によって、
できる限りのことを調べた上でみなさんのもとに赴き、放射能の危険性ばかり
でなく、できる限り、現実適用可能な知恵をお伝えしてきたいと思います。みな
さんの状態、意見、お気持ちをできるだけ聞き、一緒に何が可能かを見出した
いと思います。

それにしてもあたらためて思うのは、東北の復興を妨げているのは震災遺物
であるという、政府のウソのひどさです。そうではない。何よりも復興を
妨げているのは放射能汚染です。そのための農業破壊や漁業破壊、生活破壊
です。それが人々に次々に襲い掛かってきています。震災遺物にまつわる
政府の言葉は、現実の町の復活を阻んでいる放射能汚染隠しのためのものでも
あるようにすら思えてしまいます。

ともあれ、自転車をお届けした活動を継続しつつ、さらに放射能をめぐって、
みなさんといろいろと相談してこようと思います。

大槌での講演会と相談会のスケジュールを貼り付けておきます。

*********

7月14、15日 岩手県大槌町

放射能についてみんなで考えましょう!
放射能はどうして怖いの?
防ぐにはどうしたらいいの?

講演会
7月14日(土)午前10時より 寺野勤労体育館
7月15日(日)午前10時より 吉祥寺(吉里吉里)

放射能なんでも相談会
7月14日(土)午後1時30分より3時30分 大槌第5集会所(和野)
7月15日(日)午後1時30分より3時30分 安渡第2集会所(安渡小学校)

放射能についての疑問を聞いてみましょう!
内部被曝とはどういうものか?
海や山の汚染はどのようにすすんでいるか?
食生活では何に注意すればいいのか・・・?

講師 守田敏也さん

1959年生まれ。京都市在住。
同志社大学社会的共通
資本研センター客員フェローなどを経て、
現在フリーライターとして
取材活動中。
原子力政策に関しても独自の研究・批判活動を続け、

被災地にも度々訪問している。

NPOまちづくり・ぐるっとおおつち
0193-55-5221
http://www.guruttootsuchi.org/
コメント (3)
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