守田です(20180509 09:00)
本日9日に大飯4号機が再稼働しようとしています。これを前にご覧いただきたい動画を紹介します。30分です。
福島原発事故からつかむべきこと
2015年8月14日 後藤政志&守田敏也 対談 東京品川にて
https://www.youtube.com/watch?v=TKJNkgNOgaI&feature=youtu.be
昨夜の記事でも紹介した動画ですが、文字起こしも行っているのでそれも紹介します。
明日に向けて(1123)福島原発事故からつかむべきこと(後藤政志&守田敏也対談から)-1‐20150818
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9b5b445e16ed2fa9cbaac7e336870bda
http://toshikyoto.com/press/1957
後藤さんと僕の交流のいきさつなどから話し始め、とくに僕が一番目を開かされた「ベント」のことに触れました。一部をご紹介します。
守田
「僕が内容のことで一番、伝えなくてはいけないと思ったのは「ベント」のことですね。多くのその時の論調は『ベントはちゃんとやれたのか』みたいなものでした。基本はそうなっていました。
あるいは今でも『ベントはちゃんとつけたのか』みたいな話になっていることに対して、後藤さんは『ベントは格納容器の自殺行為である』『放射能を閉じ込めるための格納容器を守るためにそこに穴をあけるというのは抜本的矛盾だ』
『ベントがあること自身がプラントとしてダメなんだ』とおっしゃられました。今でもそうなんですがそこをマスコミがなかなかちゃんと書いてくれない」。
後藤
「今も川内原発の再稼働の問題があって、鹿児島県の伊藤知事がおっしゃっていました。
『世界に冠たる規制をしていて、福島のような事故は起こらないし、仮に起こったとしても出てくる放射能は福島の1000分の1だ』と、そうおっしゃったのです。
1000分の1というのは何なのかなあと思ったのですが、あれは多分、格納容器が壊れないことが前提なのですね。格納容器が壊れると桁が違うし、福島どころじゃすまないのですね。
つまり『そういうことはありえない』とおっしゃっているわけですね。私はそこが一番納得がいかない。なぜかというとまさにそれがベントの話なのです」。
明日に向けて(1124)川内原発再稼働の危険性と「過酷事故」の曖昧化の問題(後藤&守田対談よりー2)‐20150819
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/6e90c7394a36315234d435aeb267da78
http://toshikyoto.com/press/1959
川内原発の再稼働にあたり、「4年以上停止していた原発の再稼働の危険性」についてお聞きしました。
実際にこのわずか10日後に川内1号機は故障事故を起こしました。
今日、再稼働する大飯4号機は2013年9月以来4年8か月ぶりに稼働します。以下、一部をご紹介します。
守田
「再稼働の問題でぜひ後藤さんにお聞きしたいことがありまして、今回停止が4年を越えているのですね。・・・3年以上停まって動かした例が世界で7例しかないそうです。
それらは全部、動かしたあとで何らかの事故を起こしているそうです。素人考えでも機械は動かしていなければどんどん動きが悪くなりますよね。
(守田注、ニュースソースは「ブルームバーク」。その後、「最低でも4年間停止した原発の運転が再開されたケースは世界で14基」。と記事を訂正)
そういう意味では、もちろんこんなことはやってみないと分からないことであって、なかなか予想はできないことでしょうけれども、技術者の観点からして、4年停めておいた原発を動かすと言うのはどういう意味を持つのでしょうか」。
後藤
「当然ですけれども、そもそも停まっているプラントを立ち上げるということ自身が、ある種のトライなのです。ものが壊れている可能性もあるし、ミスってバルブを開け忘れている可能性もある。
スリーマイル島事故などはそうですからね。点検の時に給水ポンプのバルブを開け忘れたのです。それで立ち上げてしまって事故が起こってしまった。そういうリスクもあります。だから立ち上げるときはそれなりの緊張感があるのです。
さらに今、おっしゃったように4年も停まっていると、結構、長いので、プラントの水が溜まっているところ、つまり水が普段、流れているところと溜まっているところがあって、場所によっては腐食環境になりやすい。
そこで4年も淀んだまま腐食が進んでいることがないとは言えません。そうするとそれをきちんと検査をしたのかということになります。
建前は検査をやることになっているのだけれど、実際にはすべてが検査にかかるとは限らない。実際には欠陥とかあったときに運転してみて、『ボン』となって慌てて欠陥が分かるということもあるのです」。
「美浜の3号機で昔、タービンのところの配管が切れたのがそうです。厚さ10ミリのものが1.4ミリまで減っていた。そこに流れが当たってぐっと力が生じたときに破裂したわけです。
普通は『10ミリあるものが2ミリ以下に減ってくるまで気が付かないことがあるのか』と思いますよね。でも現実にはそういうことがある。管理が間違っているということなのです。
物事を『建前としてこうあるはずだ』と考えていると事故というのは分からない。事故と言うのはそういう形で起こるのです。そういう潜在的な欠陥が生じやすいのが4年です、ということになります」。
ここまでで文字起こしは半分。次号で後半をご紹介します。
続く