守田です(20190713 07:30)
● 今でも周辺に被害をもたらしているロスアラモス
ロスアラモスに行ってきました。とてもラッキーなことに、ここに向かう過程でTEWA WOMAN UNITEDというグループの方達にお会いできました。
レオナさんの紹介で玉山さんがセッティングしてくれましたが、彼女もその活動をよく知らなくて「突撃訪問」になりました!
レオナさんの紹介で玉山さんがセッティングしてくれましたが、彼女もその活動をよく知らなくて「突撃訪問」になりました!
このグループは6つの先住民の部族の連携で成り立っていて、ネイティブ・ウーマン、ガール、そしてマザーアースへの暴力に立ち向かっている。
事務所とロスアラモスに向かう途中で聞いたのは、この大きな研究所周辺で大きな火災があったことです。それも3回も。2000年に起こったのが激しかったそうで詳しくはわからなかったのですが、核廃棄物も一緒に燃えてしまい、放射性物質が東方に向かってたくさん流れてしまったと言います。健康被害もあるという。
左上は住民運動の中で作成されたニューメキシコ核被害地図
中央より少し上の赤い地帯がロスアラモスで火事による放射能の煙が北東に流れたことを示している
左上は住民運動の中で作成されたニューメキシコ核被害地図
中央より少し上の赤い地帯がロスアラモスで火事による放射能の煙が北東に流れたことを示している
途中の渓谷でも説明を受けましたが、この時、放射性物質が近くを通る川にも流れ込み、通常の基準値の6倍の汚染が確認されたそうです。
その側には取水施設がある。近くの観光地のサンタフェの水道がここから供給されているそうです。そんな被害を今もロスアラモスはもたらしている。
ロスアラモスからの放射能汚染水が流入した渓谷 サンタフェがここから取水している(守田撮影)
その側には取水施設がある。近くの観光地のサンタフェの水道がここから供給されているそうです。そんな被害を今もロスアラモスはもたらしている。
ロスアラモスからの放射能汚染水が流入した渓谷 サンタフェがここから取水している(守田撮影)
● ロスアラモスはひたすら大きかった!
さてそれでロスアラモスに行ってきました。ここはどんどん山を登った広大な高原の上にありますが、とにかくひたすら大きな町でした。「この建物で原爆開発が進められた。。。」と象徴するような場があるのではなく(あるかもしれないけれど自由に研究施設を回れるわけではない)、ビジターセンターがあり、ミュージアムがあり、ショップが並んでいる観光地でもありました。
ロスアラモスの観光案内版(守田撮影)
ロスアラモスの観光案内版(守田撮影)
ミュージアムに入ってみました。マンハッタン計画を主導したオッペンハイマーの像などが展示されている。広島に投下されたリトルボーイと長崎に投下されたファットマンの実物大模型などが置かれていましたが、もちろん被爆被害の展示はほとんどない。
これだけ見ても何もわからない。というか原爆製造と広島・長崎への投下の正義ばかりが表現されています。子どもたちが遊びながら原爆に接する場などもある。なんとも腹立たしい。
「原発のPR館に似ているなあ」と思いましたが、おそらく順番は逆でしょう。世界中にあるであろう原発PR館がここを真似たのではないか。被害の事実は一切伏せて、「正義」と「栄光」だけが強調されている。
ブラッドバリーミュージアム オッペンハイマーとグローブ、広島・長崎に落とした原爆のレプリカなどを展示(守田撮影)
ブラッドバリーミュージアム オッペンハイマーとグローブ、広島・長崎に落とした原爆のレプリカなどを展示(守田撮影)
それでも先ほどのネイティブの方たちの運動の成果として”DID WE BOMB OURSELVES"というパネルが入っており、なんだか心を洗われました。
「我々は自らに爆弾を落としたのか」と書かれている。しかもそれが”WHY THE BOMB”と原爆投下の正当性を示したパネルと向かい合っている。
原爆の正当化に対し「自分たちを爆撃したのではないのか」と告発(守田撮影)
原爆の正当化に対し「自分たちを爆撃したのではないのか」と告発(守田撮影)
● 被曝者は世界中にいる
このパネルをさらに良く見るとネバタの核実験で被ばくした女性と娘さんの写真も載せてありました。放射能の雲が空を覆ったのを見たそうです。その後、体中に発疹ができて髪の毛が抜け、爪が剥がれてしまった。この時、彼女は3番目のお子さんを妊娠していたのですが、生まれてきた娘さんは低体重でしかもすでにガンになっていました。生後6ヶ月後に手術を受けたそうです。その後も車椅子の生活を余儀なくされたと書かれている。
この核実験がなされたのは1958年のこと。僕は翌年1959年の生まれですから娘さんは同年代です。写真は1988年、彼女が30歳の時に取られている。胸がしめつけられる写真と説明でしたが、それが原爆投下の正義を強調し、日本軍の残虐さなどを強調したパネルに向かい合っているのです。
ダイヤナ・リー・ウーズリ―さんは1958年の核実験で妊娠中に被曝(展示パネルより)
ダイヤナ・リー・ウーズリ―さんは1958年の核実験で妊娠中に被曝(展示パネルより)
とても悲しい展示なのですが、しかし同時に誇り高く「原爆の正義」に向き合ってもいる。。。
さてこの日の帰りに玉山さんがニューメキシコに来るたびにお世話になっている方の家に立ち寄り、ご夫妻とお会いできました。ネイティブの方たちの被ばくのことなどが話されました。ご夫妻は核施設に反対し、ネイティブの権利を守って大奮闘してこられた方です。
僕はみんなの会話を聞いているばかりでしたが、かっこいい活動家であるお母さんに別れ際に「僕は被爆2世なのです。だからロスアラモスに行く前からハイテンションでした」と語りました。そうしたら彼女、僕の手を握って「ごめんなさいね」という。「とんでもない。あなたたちも被爆者ですよ」と僕。
宿泊地に戻り、一人きりになって寝酒を飲んでいたらこの時のことが思い出され、不意に涙が出てきました。ポロポロと。
原爆許すまじ。核兵器許すまじ。だから原発も許すまじ。
旅を続けます。。。
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