守田です(20210504 10:30)
● 社会的共通資本としての絵本
前回の、ひとぶつてんとう園と能登川図書館とあすのわぐまのお話に続き、絵と絵本の力について論じたいと思います。
絵の力、絵本の力、絵本展の力、それはすべて人間の想像力に訴えかけてくるものです。そこには物理的エネルギーは使われていない。もちろん電気など介在していない。
でもこれほど体があっためられる。何か人間の最も根本にある力を引き出してくれるような気がします。
そう考えているときに思い出したのが、僕がかつて属した同志社大学社会的共通資本研究センターで行った講演会、「社会的共通資本としての絵本」でした。
わが師、宇沢弘文さんの主宰のもと、絵本の老舗、福音館書店の会長、松居直さんをお招きしました。
もうひとり、京都・堺町画廊の主宰者でもある、絵本作家のふしはらのじこさんも来て下さいました。お二人の話ともにとても素敵だったのですが、今、紹介したいのは、松居さんのことです。
松居さんは、絵本の世界にいる方の中ではとても有名な方で、いわば絵本道の達人です。
といってもご本人が絵本を書かれてきたのではない。福音館書店を通じて数々の素晴らしい絵本を世に押し出し、また素晴らしい作家さんたちを育ててこられたのです。
松居さんは、絵本や、こどもの本にまつわる成人向けの本を何冊も書かれています。『絵本をみる眼』『絵本とは何か』『子どもの本・ことばといのち』などです。
とくに絵本やこどもの本を開いてみようという方にお勧めなのは『子どもの本・ことばといのち』です。
ここでは松居さんのお勧めの本がずらりと並んで紹介されている。その筆頭にあげられているのは『ハイジ』です。
誰もがご存じのアニメーション『アルプスの少女ハイジ』の原作ですが、実は原作と、アニメにはかなりの違いがあり、松居さんはそれを次のように紹介しています。
松居直さんの著作 どれも読みごたえがある
●『ハイジ』の本当の力
「久しぶりに完訳で『ハイジ』を読み返したとき、ひとりの読者-それも大人の読者として、私は予想した以上に心をひかれました。これほどまっすぐに心に語りかけ、新鮮な思いに包まれた読書体験も稀でした。
それに較べてアニメーションの「ハイジ」のなんと貧しいこと。原作者シュピーリが語り伝えたいと願ったであろう本質の問題は、みごとに消し去られているのです。」
「いえ、その部分は映像化しえないのです。もちろん物語を”読む”というあの楽しさは味わえません。シュピーリが心をこめてことばにした自然の美しさも、人の心のゆたかさや深い悩みも、まるでメッキのように薄っぺらにしか表現されていません。」
(『子どもの本・ことばといのち』p10)
僕はこの一説に衝撃を受け、すぐに「ハイジ」の原作を日本語訳し、福音館書店が発刊したものを手に入れ、ゆっくりと、丹念に読みました。そして松居さんがおっしゃるように、この本が本当に深い広がりを持っていることを知りました。
さらにパウル・ハイの描いたさし絵にとても感銘しました。ぜひみなさんにも手に入れていただきたいです。松居さんの指摘された素晴らしさが目と心に飛び込んできます。
実はこのさし絵は、松居さんが日本語訳を編集されたときに、スイスの著明な絵本編集者で、こどもの本のすぐれた研究者でもあったベッティーナ・ヒューリマンさんに相談を持ちかけ、パウル・ハイさんを紹介されて実現したものなのでした。
そのヒューリマンさんと親交があったのが、宇沢弘文さんの素敵なパートナー、宇沢浩子さんでした。
松居さんはこう語っています。
「すでに『ハイジ』をお読みになったことがある方々も、改めて矢川澄子訳、パウル・ハイ画の完訳本『ハイジ』を、一行一行ゆっくりと、山に登るときのようなあゆみで読んでみてください。そして作者シュピーリの語ることばと思いに、より添ってみてください。」
「さらには、登場人物たちの行為やことばだけでなく、アルプスの自然について語る、シュピーリのことばにこめられた、彼女の実体験とあこがれに思いをいたしてください。この作品の新の立役者は、スイス・アスプスの大自然だともいえるのではないかと、私はおもうからです。」(同p12)
松居さんが、『ハイジ』の紹介を通じて伝えたかったことは何でしょうか。ことばと絵が、人間の想像力をかきたてること、そこにこそ「子どもの本」や「絵本」の素晴らしさがあるということではないかと思います。だから実は優れた本は、大人をも感動させる。
正確にはものごとに感動する私たち自身の力、かけがえのない人間的能力を、引き出してくれるのです。そこに、ピュアに書かれたことばの力、絵の力、そして絵本の力があると僕には思える。あらゆる書物の原点が、そこにあるように思えます。
『ハイジ』福音館版は重厚な作り。箱に入っている。挿絵もみごと
● 絵本の力が私たちを明るくする
松居さん自身は、『絵本とは何か』という本の中で、絵本について直接にこう語っています。小さな子どもたちを集めて、お話を読み聞かせたとき、ついてこれる子と、そうでない子がいる。それはなぜかということを解き明かす中で語られている言葉です。
「物語を聞ける力というのは、物語という目に見えない世界を、自分の心の中に見えるようにする、絵(イメージ)にする力です。一般に想像力(イマジネーション)といわれる力です。想像力が豊かであれば、人間は見えないものを見ることができます。絵本は、子どもたちの想像力に大きなかかわりがあります。」
「子どもは、生まれたときから、豊かな想像力を持っているのではありません。それは直接、間接の体験を通して獲得されるものです。体験が豊かであればあるほど、想像力も豊かになるでしょう。絵本は、幼児にとって体験を豊かにする機会をあたえます。」(『絵本とは何か』p7、8)
『フランダースの犬』初版本に添えられた挿絵 この本も『子どもの本・ことばといのち』の中で紹介されている。ちなみに僕にとって「フランダースの犬」は、生まれて初めて大泣きした作品。文学で心を揺すぶられた初体験で、なぜ涙が出てくるのか分からず当惑もしていたことも鮮明に覚えている・・・。
・・・今、私たちは本当に深刻な放射能漏れの中を生きています。放射能との共存時代といわざるをえない事態の中にいます。
その中を前向きに生きてくために必要なのは、放射能の元を断つことと、一方で腹をくくり、免疫力を高める努力を傾けることだと、僕は被爆医師、肥田舜太郎さんに教わりました。
免疫力を高めるためには健康生活をすることが大切ですが、同時に私たちが経験的に知っているのは、精神生活の豊かさもまた、免疫力の向上に大きく寄与するのだということです。
だからことばの力、絵の力もまた、免疫力の向上に大きく寄与するのだと僕は思います。
その意味で、僕は「絵本は放射能に効く」と感じます。そう思うと、大阪のデモのときに、「あすのわぐま」と出会って、心がパッと明るくなった嬉しさ、楽しさを思い出します。そしてそんな力を脱原発の訴えの中で、もっと強めていきたいなと思います。
そんなことを思いながら、明日(注、2011年9月28日のこと)、信楽を訪問し、みなさんといろいろとお話してきたいと思います。そこから何か新しいものを生み出せるといい。
あすのわぐまが楽しそうに踊りながら歩いていく、それにみんながついていって脱原発の道ができていく。思い浮かぶのはそんなイメージです。
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*インドで致死率50%の真菌感染症が流行っているそうです、、
気道を通って鼻の組織を死滅させ、眼を損傷させた後、脳に入ってアッという間に死に至らしめるとのこと 不衛生なマスクで真菌感染が増えているのでは、、、、
*2008年の研究では、1918年のスペイン風邪での死者の大半はバクテリア2次感染の肺炎によるものであったとされる。共著者ファウチ氏」
*新発見の恐るべき真菌、カンジダ・アウリス
真菌とはカビのこと。真菌が起こす病気を真菌症と呼び、最も有名なものは白癬菌による水虫だが、患部が皮膚にとどまらず全身の感染症を生じる例もある。
カンジダ・アウリス(Candida auris)は、2009年に日本から報告された新しい真菌である。70歳の女性の耳だれから見つかったため、ラテン語で耳を意味するaurisと名付けられた。発見当初は高齢者で外耳道炎を起こす程度で、病原性は高くないと思われていたが、今やこの真菌が各国の病院や老人施設で死亡例を含む集団感染を引き起こし、世界的流行(パンデミックと呼ばれる)となっている。発見者である帝京大学大学院医真菌学教授の槇村浩一氏に話を聞いた。
槇村氏は、病気を引き起こす真菌を専門とする日本では数少ない医真菌学者だ。「カンジダ属の代表であり、カンジダ症の最大の原因となるカンジダ・アルビカンスは丸くて大きいが、日本で見つかるアウリスは小さくて形はいびつだ」と言う。アウリスが重篤な全身感染症の原因となることを、初めて報告したのは韓国である。2011年、アウリスが血液を介して全身に広がる敗血症の原因となった3例を見つけたのだ。その後の拡散は速やかで、インド、パキスタン、南アフリカ、ベネズエラ、英国、米国、クウェート、イスラエル、コロンビア、中国などから続々と報告されるようになった。
*アウリスは発見も消毒も治療も困難
アウリスには厄介な問題点が幾つもある。まず、免疫機能の低下した例において重症の全身性感染症を引き起こす点だ。死亡率は30〜40%と推定されている。その最大の理由は、抗真菌薬の効かない菌が多いこと。アウリスの9割は最もよく使われる抗真菌薬のフルコナゾールに耐性を示し、5割は複数の抗真菌薬が効かない多剤耐性、4%はどの薬も効かないといわれている。
第二に、菌種の特定が困難な点が挙げられる。この真菌は新種であるため、従来の検査法では見つけることができない。アウリスを意識して特殊な方法を取らないと、見つからないのである。発見の遅れは、治療の遅れ、拡散防止の遅れに直結する。槇村氏は、大学にカンジダ・アウリス・レファレンスセンターを立ち上げた。怪しい真菌を送ってもらえれば、同定や分析を引き受けるという。
第三の問題点は、環境に定着しやすく消毒が困難な点だ。今年(2019年)4月、ニューヨーク・タイムズに掲載された記事によると、ブルックリンのマウント・サイナイ病院でアウリスに感染した高齢の男性が亡くなったが、病室の至るところにこの菌が残っており、病院は根絶のため「天井やタイルの一部を剝がした!」という。にわかに信じ難い話だが、アウリスはそうした環境でも数週間は生きられることが確認されているという。
*日本もアウトブレイク対策を怠るな
日本では強い病原性を示さなかったアウリスが、海外で多くの死者を出しているのはなぜか。槇村氏は、遺伝子型の違いを指摘する。米疾病対策センター(CDC)がゲノムシークエンスという方法で詳細に分析したところ、アウリスには4つのタイプがあることが分かった。東アジア株、インド株、南アフリカ株、南米株である。その違いは大きく、病原性や薬剤耐性にも影響を与えている。
日本や韓国の東アジア株は、病原性は低く、抗真菌薬が比較的効果を発揮する。これに対してインド株は、致命率も耐性率も高い。英国でも米国でも多くの施設でアウリスの院内感染が発生しているが、南アフリカ株が主体の英国では今のところ死者は出ていない。これに対し米国では、州によって異なるもののインド株が多いとされ、死亡例も発生しているという。
米国での感染例に関しては、最近、インドや南アフリカ共和国、ベネズエラなどで医療機関に滞在した人が関与しているとの報告がある。となると、気になるのが中国で昨年、インド株によるアウトブレイクが起きた点だ。中国人観光客の増加や医療ツーリズムの流行を考えると、日本でのアウリスのアウトブレイクは間近に迫っていると同氏は指摘する。
「アウトブレイクが起き、死者が出てから大騒ぎするのではなく、今できる準備をしておこう」と呼びかける。大事なのは、高病原性のアウリスが国内に最初に現れたとき、そこで封じ込めること。CDCの真菌部門の責任者であるチラー氏は、「アウリスは一度、環境に定着してしまうと本当に大変。最初に抑え込むべきだ」と語ったという。そのためには、まず、医療従事者に対する啓発を進めること、そしてガイドラインを整備し、いざというときへの備えを固めておくべきだと、同氏は提言している。
(ウィルスは、、、型 真菌は、、、株 変異型ではなく変異株、、、)