守田です。(20120316 23:30)
がれきの問題が重要な局面を迎えていますが、こうしたことともつながってい
るのではないかと思わざるを得ない情報が、東京大学アイソトープ総合センタ
ーから出されました。いよいよ飛散のピークに迫りつつある花粉を福島と東京
で調べたところ、放射性物質は検出されなかったという記事です。タイトルは
「花粉からは検出されず 東大助教」となっています。
本当にそうであれば、ひとまず胸をなでおろしたいところですが、記事を読ん
でいて、あれっと思いました。調査が2月19日から25日となっているからです。
なおかつ調査対象も20人とやけにすくない。とくにひっかかったのは時期の問
題です。そもそも福島はこの時期ならまだそれほど花粉は飛んではいなかった
のではないか。
それで花粉情報を調べてみました。まず環境省から今年2月24日に出ている花粉
(スギ・ヒノキ)の飛び始めの情報を見ると、東京は2月下旬ですが、福島は南
部が2月下旬から、北部は3月上旬からとなっています。となると福島での計測
は、花粉がまだ飛び始めてない地域のものが入っていることになります。最も
人口の多い福島市も県の北部にあります。なお参考にしたのは以下の情報です。
平成24年スギ花粉前線予測最新版(2月22日)
http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/attach/forecast_01front.pdf
さてそれでは花粉が多くなっていく時期、ピークの時期の予想はというと、
同じ環境省の2月24日発表の情報では、花粉が多くなってくるのは東京で3月上
旬、ピークは3月中旬。福島では3月中旬から多くなりはじめ、下旬にピークと
なっています。これは以下から見れます。
「平成24年春における都道府県別スギ・ヒノキ花粉の飛散ピーク時期予測」
http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/attach/forecast_02peak.pdf
これはあくまでも予想値です。実際はどうなのか。なかなかデータが見つかり
ませんでしたが、日本地球惑星科学連合という組織が、花粉のセシウム汚染
調査に本格的に取り組んでいて、刻々と情報を出していることが分かりました。
それを見てみると・・・なんと福島ではいまもなおそれほど花粉は飛んでいな
い!東京もはじまったばかりです。
この組織について僕は十分な知識がなく、このデータの見方もも今一つ自分で
咀嚼できていないのですが、ともあれこれを見る限り、少なくとも2月19日から
25日の調査では花粉調査としてはまったく意味をなさないことが見えてきます。
なお同団体のHPより、東京の花粉情報を記したページを紹介しておきます。
東京(港区)での大気中の放射性セシウムの放射能およびスギ花粉飛散数同時観測データ
http://157.82.240.167/fukushima/fuku_data/kafun/11.html
これらを見るならば、2月19日から25日にたった20人のマスクからサンプリング
したのでは、時期的にも検体数的にもまったくもって不備であるといわざるを
えません。またそれほど解析に時間がかかるわけでもないマスクの計測結果が、
20日もたって、今、この時期に出されていることも不可解さを感じます。
東大アイソトープ総合センターが、どうしてこんなにずさんな調査を行うので
しょうか。この調査もまた「安全宣言」のためのものではないかと思わざるを
えない。そう思わせるのはこの調査のあまりのすさんさのせいです。
ここから少なくとも言えることは、花粉がほとんど飛んでいない時期のこの調
査で、花粉の安全性が証明されたとはまったく言えないということです。依然、
十分な警戒が必要です。ぜひ関東の方、東北の方は、ぜひ花粉対策を継続して
ください。
・・・それにしても新聞各紙はどうしてこういう情報を、何の注釈もつけずに
「垂れ流す」のでしょうか。なぜ花粉の飛散時期ぐらい、調べようとしないのか。
記事に「花粉のほとんどないこの時期の調査に信用性はあるのだろうか」ぐらい
付け加えることはできないのでしょうか。ため息が出ます。
この国をまだまだ覆う「安全神話」を、私たちはひとつずつ、丁寧にひっくり返
していきましょう。
******************
放射性物質:花粉からは検出されず 東大助教発表
毎日新聞 2012年3月16日 18時40分
東京電力福島第1原発事故による放射性セシウムは花粉から検出されなかった
と、東京大アイソトープ総合センターの桧垣正吾助教(放射化学)が16日発
表した。本格的な花粉の時期を迎え、放射性物質が花粉に付着して広く飛散す
ることが懸念されていた。
調査は2月19~25日、福島県と東京都の住民計20人に日常生活でマスク
を着用してもらい、放射性物質と花粉の量を測定した。
その結果、放射性セシウムは福島県内で最大4.3ベクレル、都内で最大0.6
ベクレルが検出された。詳しく調べると、放射性物質が検出されたのは花粉で
はなく、ほこりやちりだった。4.3ベクレルは0.082マイクロシーベルト
に当たり、都内の屋外で浴びる外部被ばくの1時間程度に相当するという。
桧垣助教は「ほこりなどを取り込むことで微量だが内部被ばくの可能性はあるが、
マスクで防ぐことができる。現時点で検出されていないが、今後も推移を見守る
必要がある。気になる人は着用してほしい」と話す。【神保圭作】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120317k0000m040029000c.html
がれきの問題が重要な局面を迎えていますが、こうしたことともつながってい
るのではないかと思わざるを得ない情報が、東京大学アイソトープ総合センタ
ーから出されました。いよいよ飛散のピークに迫りつつある花粉を福島と東京
で調べたところ、放射性物質は検出されなかったという記事です。タイトルは
「花粉からは検出されず 東大助教」となっています。
本当にそうであれば、ひとまず胸をなでおろしたいところですが、記事を読ん
でいて、あれっと思いました。調査が2月19日から25日となっているからです。
なおかつ調査対象も20人とやけにすくない。とくにひっかかったのは時期の問
題です。そもそも福島はこの時期ならまだそれほど花粉は飛んではいなかった
のではないか。
それで花粉情報を調べてみました。まず環境省から今年2月24日に出ている花粉
(スギ・ヒノキ)の飛び始めの情報を見ると、東京は2月下旬ですが、福島は南
部が2月下旬から、北部は3月上旬からとなっています。となると福島での計測
は、花粉がまだ飛び始めてない地域のものが入っていることになります。最も
人口の多い福島市も県の北部にあります。なお参考にしたのは以下の情報です。
平成24年スギ花粉前線予測最新版(2月22日)
http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/attach/forecast_01front.pdf
さてそれでは花粉が多くなっていく時期、ピークの時期の予想はというと、
同じ環境省の2月24日発表の情報では、花粉が多くなってくるのは東京で3月上
旬、ピークは3月中旬。福島では3月中旬から多くなりはじめ、下旬にピークと
なっています。これは以下から見れます。
「平成24年春における都道府県別スギ・ヒノキ花粉の飛散ピーク時期予測」
http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/attach/forecast_02peak.pdf
これはあくまでも予想値です。実際はどうなのか。なかなかデータが見つかり
ませんでしたが、日本地球惑星科学連合という組織が、花粉のセシウム汚染
調査に本格的に取り組んでいて、刻々と情報を出していることが分かりました。
それを見てみると・・・なんと福島ではいまもなおそれほど花粉は飛んでいな
い!東京もはじまったばかりです。
この組織について僕は十分な知識がなく、このデータの見方もも今一つ自分で
咀嚼できていないのですが、ともあれこれを見る限り、少なくとも2月19日から
25日の調査では花粉調査としてはまったく意味をなさないことが見えてきます。
なお同団体のHPより、東京の花粉情報を記したページを紹介しておきます。
東京(港区)での大気中の放射性セシウムの放射能およびスギ花粉飛散数同時観測データ
http://157.82.240.167/fukushima/fuku_data/kafun/11.html
これらを見るならば、2月19日から25日にたった20人のマスクからサンプリング
したのでは、時期的にも検体数的にもまったくもって不備であるといわざるを
えません。またそれほど解析に時間がかかるわけでもないマスクの計測結果が、
20日もたって、今、この時期に出されていることも不可解さを感じます。
東大アイソトープ総合センターが、どうしてこんなにずさんな調査を行うので
しょうか。この調査もまた「安全宣言」のためのものではないかと思わざるを
えない。そう思わせるのはこの調査のあまりのすさんさのせいです。
ここから少なくとも言えることは、花粉がほとんど飛んでいない時期のこの調
査で、花粉の安全性が証明されたとはまったく言えないということです。依然、
十分な警戒が必要です。ぜひ関東の方、東北の方は、ぜひ花粉対策を継続して
ください。
・・・それにしても新聞各紙はどうしてこういう情報を、何の注釈もつけずに
「垂れ流す」のでしょうか。なぜ花粉の飛散時期ぐらい、調べようとしないのか。
記事に「花粉のほとんどないこの時期の調査に信用性はあるのだろうか」ぐらい
付け加えることはできないのでしょうか。ため息が出ます。
この国をまだまだ覆う「安全神話」を、私たちはひとつずつ、丁寧にひっくり返
していきましょう。
******************
放射性物質:花粉からは検出されず 東大助教発表
毎日新聞 2012年3月16日 18時40分
東京電力福島第1原発事故による放射性セシウムは花粉から検出されなかった
と、東京大アイソトープ総合センターの桧垣正吾助教(放射化学)が16日発
表した。本格的な花粉の時期を迎え、放射性物質が花粉に付着して広く飛散す
ることが懸念されていた。
調査は2月19~25日、福島県と東京都の住民計20人に日常生活でマスク
を着用してもらい、放射性物質と花粉の量を測定した。
その結果、放射性セシウムは福島県内で最大4.3ベクレル、都内で最大0.6
ベクレルが検出された。詳しく調べると、放射性物質が検出されたのは花粉で
はなく、ほこりやちりだった。4.3ベクレルは0.082マイクロシーベルト
に当たり、都内の屋外で浴びる外部被ばくの1時間程度に相当するという。
桧垣助教は「ほこりなどを取り込むことで微量だが内部被ばくの可能性はあるが、
マスクで防ぐことができる。現時点で検出されていないが、今後も推移を見守る
必要がある。気になる人は着用してほしい」と話す。【神保圭作】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120317k0000m040029000c.html
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