明日に向けて

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明日に向けて(1693)対米へつらい外交の直接の目的は安倍政権の延命、しかし自衛隊の攻撃的な部隊への再編も進行した・・・!

2019年05月29日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190529 23:30)

トランプ大統領が日本でのすべての日程を終えて帰国しました。
安倍首相はいつにもましてひどい対米へつらい外交を続けましたが、マスコミが連日、安倍政権の意図に沿った「歓迎ムード」報道を続け、皇室もてひどく政治利用されて和やかムード演出に使われてしまいました。
今回のトランプ大統領訪日、問題点がたくさんあり、検証が問われます。安倍首相とトランプ大統領が目指したものは何だったのかという点から分析を行ってみました。

● 異例の長期滞在で至れり尽くせりの歓待・・・

まず今回の日程を再確認したいと思います。(首相と大統領の肩書を省略します)

25日、トランプ来日。都内に宿泊。

26日、安倍・トランプが千葉県でゴルフ。 夕方、両国国技館で大相撲千秋楽を観戦。 都内の居酒屋で安倍・トランプが非公式夕食会。

27日、安倍・トランプが皇居で天皇・皇后と会見。 迎賓館で日米首脳会談。 朝鮮による拉致被害者家族と面会。

28日、安倍・トランプが海自護衛艦「かが」に乗船。 自衛官と米兵に訓示。 トランプは米強襲揚陸艦ワスプにも乗船。 帰国。


時事コム 20190522より

安倍首相が狙ったのは外交の連続的失敗を隠しつつ軍拡(解釈改憲)を進めること!

この異例といえる「へつらい外交」で安倍首相が目指したものは何だったのでしょうか。
一番に指摘したいのは「相次ぐ外交の失敗を隠すこと」にあったに違いないという点です。アメリカとの「親密関係」の演出はそのために必要だった。もちろん選挙対策としてもです。
実際には安倍外交は失敗ばかりで、民間の社長なら更迭されても当然です。

一つ目はなんといっても原発輸出計画の総破たん。首相官邸肝いりで進められたこの政策、「トップセールス」とも言われましたが、アメリカ・台湾・ベトナム・リトアニア・トルコ・イギリスと連続して大失敗です。
二つ目に、朝鮮半島での劇的な和平の進展でも蚊帳の外に立ち尽くしている。「条件なしでの対話」へと転換しましたが、朝鮮は見向もしてくれない。拉致問題も解決とは程遠いし韓国との関係までも悪化するばかりです。
三つ目に、ロシアとの領土交渉にも完全に失敗し「北方領土返還」のめども立っていないし、四つ目にそもそもトランプ大統領にTPPから脱退され「復帰を求める」とか言ったものの全くできておらず、二国間交渉を強いられるありさま。


朝日新聞20181218より

理由ははっきりしています。国会をみれば分かるように他者に高圧的で傲慢、都合が悪いことは無視したり嘘でごまかす安倍首相に、外交能力などあるわけがないからです。
海外の要人は忖度などしてくれないし自民党内恐怖政治だって通用しない。だから何一つ成功しない。そもそも人を説得する態度が安倍首相には大きく欠けています。
この失態続きをを隠して生き延びるためのフィーバーが今回のへつらい外交の目的の一つだったのです。

ただ私たちは他者と対話のできない安倍首相が、よりアメリカの軍事体制への傾斜を強めたのが今回のへつらいの結果でもあったことを見ておく必要があります。
その点を明らかにするために、次にトランプ大統領の狙ったものについて分析していきます。


朝鮮に対して対話してはならないと強調する安倍首相 20170429 ロンドンにて 出典不明

トランプ大統領が狙ったのはアメリカ製品の売りつけと日米軍のさらなる一体化だ!

トランプ大統領は安倍首相の狙いに全面協力したわけですが、もちろん大きな見返りが得られるからです。大きなことは三つ。一つは農産物に対する関税を引きさげさせ自国産品をたくさん売り込むこと。
首脳会談後になされた「貿易交渉で大きな進展があった。7月の選挙後を待つ。大きな数字を期待している」とのツイートは支持者向けのアピールでもあったのでしょう。
もう一つは欠陥飛行機であるF35の購入継続の確約をとること。同盟国の多くが購入見直しを始める中で、同機が海に墜落しパイロットも機体も行方不明なのに、なんの文句も言わずに購入継続を表明する日本はアメリカにとって「極上の客」です!

ただ注意が必要なのはF35が欠陥機であることだけが問題ではないことです。むしろF35の導入により自衛隊が「専守防衛」をさらに踏み越えていくことになることが問題なのです。
この点の大きなポイントとして両首脳による自衛隊の護衛艦「かが」への乗船があったことを見ておく必要があります。「かが」はF35改型であるF35Bを載せるために改修中の艦船です。
「かが」は「空母化」を考えて作られたものの戦闘機を発進させるカタパルトがないし甲板の長さも足りない。ところがF35Bは短距離離陸や垂直着陸ができるので使えるのです。トランプ大統領にとってF35Bの絶好の売り込みの場でもあります。


護衛艦「かが」 日経新聞20190528掲載のweb動画より

しかしここには重大な問題が介在しています。日本政府はこれまで「他国への攻撃能力を有する空母保持は憲法違反」と言ってきたからです。「かが」へのF35Bの搭載はこれに反することになる。またしても解釈改憲です。
いやそれはF35そのものに言えることなのです。この機は攻撃力がこれまでのものより格段に高く、他国攻撃可能な巡航ミサイルも搭載できます。「専守防衛」のためとはとても言えな攻撃性を持った兵器なのです。
その点でトランプ大統領の狙いは、F35を多数売りつけて自衛隊の攻撃性を増し、米軍の補完部隊として実戦使用する道を広げることにもあったと言えます。その象徴として「かが」船内で両首脳による米兵・自衛官への演説が行われたのでしょう。


「かが」が改修されることで「日米両国が」より広い領域を守れると強調するトランプ大統領
日経新聞web上動画より

私たちはこの点をこそ批判しなくてはいけません。トランプ訪日でなされたのは、農家を危機に追い込む貿易合意、武器の爆買の継続合意とともに、自衛隊を米軍に差し出すことを前提とした攻撃力の増強=憲法のさらなる骨抜き化でもあったのです。
安倍首相の側から言えば、外交がまともにできないがゆえにこそ、ますますトランプ大統領にすり寄ったとも言えるでしょう。そのために自衛隊の攻撃的な軍への再編がますます進められつつあるのです。
こんなこと、まったくもって許せないし、もっと鋭い暴露を重ねてこの流れをひっくり返さなくてはいけません。さらに分析を続けます・・・。


「かが」で演説するトランプ 東京新聞20190528より

続く

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