明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1074)原発輸出を止めることで日本の原発を完全に止めよう!

2015年04月15日 07時00分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150415 07:00トルコ時間)

 
イスタンブールのホテルからです。
いよいよ今日がトルコ滞在最終日となりました。いつものことですが怒濤のような日々でした。たくさんの方と出会い、たくさんの話を聞き、たくさんの経験と知恵を詰めました。とてもありがたい一週間でした。
とくにこの旅の初めに14日に高浜原発再稼働禁止処分決定が出るという情報をつかみ、結果的に素晴しい朗報をトルコの方たちに伝えられてとても嬉しかったです。
 
発言内容もサムソン、イスタンブールでは変更しました。ご紹介した講演用原稿のうち、1の放射線の危険性の数値的目安の紹介に基づいた日本の放射能汚染マップの紹介と、2の小児甲状腺がんの広がりや心臓病の増加が懸念されるデータの紹介まではそのままとし、その後は割愛して日本の情報に差し替えました。
今回はメインテーマがチェルノブイリと健康問題であったために、事前にご紹介したような原稿を作っていったのですが、やはりもっと日本の情報を出してくれ、再稼働問題等もあった方が良いとの提案を受けたからです。それで福島県で住民の方たちがきちんとした防護服などないままに除染活動をしなければならなかったことや、子どもたちがマスクをして運動会をさせられたことなどを紹介しました。
 
また安倍首相がオリンピック招致発言において「原発はコントロールされている」「汚染水は完全にブロックされている」「今も未来も健康被害は全くない」と大嘘を言い放ったことへの批判を語りました。「私たちの国の首相は大嘘つきなのでだまされないでください」と話すと大きな拍手が起こりました。また浪江町議会がすぐさま「わが町は関連死で290人がすでに亡くなっている。福島を軽視し見下す政府と東電に憤りを禁じ得ない」と声明したことも紹介した上で安倍首相とエルドアン首相(当時)が握手している写真を示して「嘘つきにだまされないように気をつけましょう」と語ると大きな笑いが返ってきました。
 
その上で日本民衆の抵抗運動の写真を何枚か紹介しました。示したのは京都で行われている関西電力前での金曜行動です。僕もたびたび参加して撮影していますが、同じような行動が全国で250カ所近くで行われていること、(月1回の行動も含む)こんなことは日本の歴史の中でこれまでなかったこと、画期的な行動であることを紹介しました。
そして重要な情報として現在日本の全ての原発が止まっていることを明らかにしましたが、実はこの点はトルコの知識人層でもあまり知られていない情報だったので、伝える意義がとても高かったです。
 
次に伝えたのは日本政府はそこから原発を生き延びさせるために二つの狙いを持っていることです。
一つはとにかくどれかの原発を動かすことで、狙われているのは高浜原発と川内原発であること。そしてもう一つの狙いが原発輸出であることです。
なぜ原発輸出に日本政府が固執しているのか。端的に言って原子力産業を維持するためです。国内でたとえ一つか二つの原発を再稼働させたとしても、その後にたくさんの原発を動かすことは難しい。ならば先に輸出を進めてしまい、技術力などを保持するとともにいわば外堀埋めようとしているというわけです。
 
ここからは時間がないので発言に入れなかったことですが、原発輸出路線は、もともとはアメリカのブッシュジュニア政権のときに原発回帰政策が狙われたことにタイアップする形で小泉元首相が2005年の政策大綱で路線化したものです。しかももはや生産ラインを失っているアメリカに変わって、日本が原子力のリーディングカントリーにのし上がり、独自の輸出構造を作っていくことまでもが狙われました。
 
しかしアメリカはすでに原発回帰から撤退してしまいました。現実的な展望が見いだせなかったからです。だからまた福島原発事故以降、小泉元首相も転換を唱えだしたのではと僕は見ていますが、一方でアメリカに肩を並べ、さらにアメリカに変わって世界のリーディングカントリーになりたい安倍首相は、福島原発事故後も日本独自の原発輸出路線に固執してきたのでした。
そこで日本の原子力産業の延命という目的が付け加わったのです。あるいはそれこそ主目的になったとも言えます。
 
以上を踏まえて、トルコの方達には、「それだけに今、トルコの民衆と日本の民衆が固く連帯して頑張れば、原発輸出を止めることは可能だ、そのために自分たちの力をあげよう。民衆の力をアップさせよう。Power to the People!」と訴えました。大変、大きな拍手をいただけました。
 
さてここからは日本のわたしたちの問題です。
これまで述べてきたように、実際に原発輸出は日本の原子力産業の保持の位置性を強くもって行われようとしています。それだけに輸出政策を止めることには私たちの国の原発を止める上で非常に大きな位置があります。
さらに僕は再稼働の動き自身がまた原発輸出とも連動していると考えています。理由は単純です。自分の国で安全性が担保できないことを理由に原発が動かせなかったら、当然にも輸出に大きな影響が出るからです。
日本の原発がなかなか再稼働できないなかで輸出で時を稼ごうとしているわけですが、しかし輸出のためにも再稼働を急がないわけにはいかないというジレンマのもとに安倍政権は立っている訳です。だからこそ私たちは、日本の原発政策をさらに追いつめるために輸出反対にもっと力を注いでいく必要があります。
 
その点でも原発輸出国の人々との連帯はますます重要性が増しています。トルコやベトナムで原発反対の声が高まり、輸出ができなくなれば、今、一つの原発も動かせていない日本の原子力産業はますます衰退の道を辿ることになるからです。その意味でトルコやベトナムの方達の頑張りは、直接に私たちの原発のない未来の可能性を開くものとなります。そのような構造的なつながりをしっかりと把握して、私たちはトルコやベトナムを初めとする原発輸出が狙われている先の国々の人々との連携をもっともっと強めていく必要があります。
 
さらにトルコとの関係で言えば、今回の再稼働禁止決定で、電力会社や原子力規制庁が地震のことを把握できていないこと、いや今の科学の水準では最大の揺れがどれほどになるか把握できていないのであって、もしそれでも原発を動かしたいというのであれば、地震基準動を大幅に引き上げるべきだという点が打ち出されたこともとても大きい。
なぜかと言えばトルコもまた日本と同じような地震大国だからです。
日本国内で地震への備えがあまりに脆弱であることを指摘された原発を地震大国のトルコに輸出等していいわけがありません。
 
もう一つ、今回の決定は直接的に加圧水型原子炉を要する高浜原発に向けられたものですが、この原子炉を作ったのは三菱重工です。その三菱がトルコ・シノップへの輸出も担おうとしているわけで、今回の加圧水型原子炉への批判はそのままシノップへと輸出されようとしている原子炉の安全性への批判にもつながります。これもまた非常に重要な点です。
 
以上に踏まえて僕は帰国してから今まで以上に原発輸出反対のために奮闘しようと思っています。とくにその中でも僕の役割はトルコの民衆と日本の民衆の連帯の橋渡しになることですから、その点での努力をさらにアップします。頑張ります。心がうずうずしています。
 
ちなみに今はトルコ時間では朝の7時。
すでに予定されたスケジュールは全て終えていて、今日はグランドバザールなどを観光してこようと思っていますが、ありがたいことに午後2時よりトルコの新聞社が僕をインタビューしてくれることになりました。貴重な機会ですから高浜原発再稼働禁止決定の意義を語り、トルコ民衆との連帯、原発輸出阻止に向けた僕の熱い決意を披露しようと思っています。話したいことがいっぱいですからとても嬉しいインタビューです。
 
以上を終えて今夜のフライトで日本に戻ります!
みなさま。どうかトルコへの原発輸出を止める行動にぜひお力を貸してください。
以上でトルコからの報告を終えます!!
 
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