昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

昭和の恋の物語り (三十四)

2013-02-14 20:16:01 | 小説
(三十四)

「どうしたの。
さっきまでの威勢の良さは、どこにいったの? 
それとも、美女二人のご馳走に感激しているのかナ?」

「まったくその通りです。のどを通りましぇーん。」
「そう言う割には、よく食べてるじゃない?」

事務員さんは俺に声をかけてくれるが、真理子ちゃんは事務員さんだけに話している。
淋しい気持ちが襲ってきていた。

「あのぉ、リンゴはお好きですか?」
初めて声をかけてくれた。どうやら、事務員さんに促されたようだ。

「はいっ。」

思わず素っ頓狂に答えた。
その答えぶりに、どっと皆が笑った。

時計の針は、一時半を指している。
事務員さんの希望で、車の少ない方向に下りることになった。

こちらの方向は初めてだった。
我々のG市ではなく、S市に向かうことになる。

出来るだけ長い時間のデートらしきものを楽しみたい俺としてもありがたい。
真理子ちゃんの声も聞かず、すぐに走らせた。


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