(三十三)
天体ショーが終わり、二人はサッサと立ち上がった。
が、俺は立てなかった。
眩しさに目がまだ慣れない。
星の瞬きではなく、真理子ちゃんの横顔に目が行っていたために、目を開けられないのだ。
「真理子ちゃん、立たせてて上げて。」
事務員さんの声に促されるように、真理子ちゃんの手が俺の肩に触れた。
一瞬、電気が走った。
鼓動が高鳴り、耳がガンガンする。
車の中で、二人が作ってくれた昼食を摂った。
目を合わせることができない俺としては、
バックミラーの中の真理子ちゃんを盗み見するのが、精一杯だった。
「お味はどう?」
問いかけられても、正直のところ味などは分からなかった。
「すごくおいしいです。」
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