昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

昭和の恋の物語り (三十三)

2013-02-13 21:56:01 | 小説


(三十三)

天体ショーが終わり、二人はサッサと立ち上がった。
が、俺は立てなかった。

眩しさに目がまだ慣れない。
星の瞬きではなく、真理子ちゃんの横顔に目が行っていたために、目を開けられないのだ。

「真理子ちゃん、立たせてて上げて。」

事務員さんの声に促されるように、真理子ちゃんの手が俺の肩に触れた。
一瞬、電気が走った。
鼓動が高鳴り、耳がガンガンする。

車の中で、二人が作ってくれた昼食を摂った。
目を合わせることができない俺としては、
バックミラーの中の真理子ちゃんを盗み見するのが、精一杯だった。

「お味はどう?」
問いかけられても、正直のところ味などは分からなかった。

「すごくおいしいです。」


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