昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

蒼い恋慕 ~ブルー・れいでぃ~ (雨)

2010-01-01 21:04:02 | 小説
見上げる空のどこにも星はなく、月もない。
隙間なく覆いかぶさる、雲雲雲。

何層にも重なる雲からは、今にもぽつりぽつりと雨が降りそうだ。
少年の心内を映し出している空模様だ。

一点の晴れ間もないその闇空ー
一点の曇りもないその闇空の如くに、少年の心は沈みきっていた。

どこからともなく、静かに一筋の糸となって降る雨、少年は好きだった。
切っても切っても、それは糸として連なる。

そして次には、ボトリボトリと水滴となっている。
そして又、糸の色だ。

透明であるはずなのに、白となり或いは銀色に輝く。
赤になり青になることもある。

辺りが発する光を体全体で受け止め、それに浴されながらも、
それ自体が美しいということが良い。

そう思う、少年だった。

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