昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

蒼い恋慕 ~ブルー・れいでぃ~ (闇空)

2010-01-02 12:47:52 | 小説
しかし今夜の少年には、何もかもが腹立たしかった。
降りそうで降らない雨、少年には腹立たしい。
そして雨が降り出したとしたら、やはり腹立たしく感じるだろう。

まとわりついている湿り気が、少年の衣を重くする。
じとじとと攻め立てる湿り気が、少年の体を重くする。

闇空が腹立たしい。
月の出ていないことが腹立たしい。
星も瞬いていないことが気に障る。

そしてこの闇空の下において、目映いばかりのネオンサインの溢れる街。
月明かりを拒否するがごとくのネオンサイン。

風流風情のないことが当たり前の、この歓楽街。
それが腹立たしい。

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