昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

昭和の恋の物語り (十二)

2013-01-13 18:12:59 | 小説

(十二)

じっと、腕を組んで考える。
そして思い出した。

ガソリンスタンドで、
「タペットが悪いかも?」
と言われたことを。

「そうかなあ。」
と答えはしたものの、そのタペットの位置を知らない。

いや、タペットそのものを知らないのだ。
同年代の男に聞くのは嫌だ、我慢ができなかった。

結局のところ、彼女は出てこなかった。
彼にからかわれたのかもしれない。

それとも仕事中のことだ、外を見ていないのかもしれない。
どちらにしろ、裏切られたような思いを胸に車を走らせた。


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