昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[ブルーの住人]第五章:蒼い情愛 ~はんたー~

2024-04-13 08:00:14 | 物語り

(七)化膿

 ○すほどの、理由が見つからないんだよ。
 あの女にそれほど惚れていたわけでもないし。

 おまえひと筋だ! なんて、落とすまでは言ったけども。
 最近じゃ、ちいとばかし飽きもきてたし。

 あの男との結婚話だって、俺にとっちゃ渡りに舟だったんだ。
 ただすんなりと認めちゃ、あの女に悪いかな? ってことぐらいだったし。

 それを、世間の奴らが。
 なにをとち狂ってか、やれ裏切られたの捨てられたのって。

 辛いだろうに憎いだろうに、って散々に。
 痛くもない傷をさすられ過ぎて、ぎゃくに化膿しちまった感じだ。



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