長編恋愛小説 ～ふたまわり・第一部～（七）の五

その夜から、
澄江の姿が消えた。
まさかとは思われたけれども、
女たちが警察での取調べを受けた。
「お前ら、とんでもないことをしでかしたな。
もう、一生お天道さまを拝むことはできんぞ！」
しかめっ面をしながら、老刑事が呟いた。
「そ、そんなぁ・・。
あんなことぐらいで、そんなこと・・」
「からかっただけだぁ、本気じゃなかったよ。」
「ご、ごめんなさい。そんなに気にしてるんだか？」
皆が皆がっくりと肩を落とし、涙を浮かべていた。

ゆっくりとタバコをくゆらせながら、
「バカッタレが！
今さら泣いたところで、澄江とか言う女が戻ってくるわけなかろう。
で、どこに、埋めたんだ？」
「はあ？埋めた・・って、何のことだか・・」
「ま、まさか・・」
「あたしら、そんな。
からかっただけで、なにもしてないよぉ・・」
「お前ら、ほんとに、殺してないんだな？」
「と、とんでもない！」
「知らねえ、そんなこと。」
必死の形相で、否定した。
老刑事にしても、本音の部分ではシロだろうと考えていた。
ただ、もののはずみということも考えられるから、
と確認をとっただけだった。