昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第一部~(七)の六

2011-05-20 23:23:13 | 小説
その翌日以来、
半狂乱状態で町中を走り回る茂作の姿があった。
「どうしたんかのぉ、
澄江ちゃんは。」
「ほうよ、ほうよ。
あの芝居一座に付いて行ったんじゃろうと言うもんがおるが、
実のところはどうなんじゃ?」
「いやいや。
娘たちにいじめられて、
覚悟を決めてしもうたとも言うとるぞ。」
諸々の噂が飛び交う中、
世話役連もあちこち連絡を取ってみた。
まず連絡を取ってみたのは、
あの芝居一座だった。

「そちらにですのぉ、
あの花束を渡しました娘がおりませんでしょうかのお。」
すぐに
「居ませんよ。」と返事があるものと思っていたが、
暫く待たされて
「居ませんなあ。」との、
返事が帰ってきた。
「そりゃ、
おるぞ。
澄江ちゃん、
おるぞ。」
「いやいや。
念を入れて確認してくれたんじゃろ。」
と、
二つの意見に分かれた。


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