昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第一部~(十)の七

2011-06-24 22:34:41 | 小説
ショーの始まりと同時に、
アナウンスが流れた。
「紳士淑女の皆さま、
お待たせをいたしました。
これより、
マッケンジー氏による
最新モー
ドの発表をさせていただきます。
どうぞ、心ゆくまでご堪能ください。」
大きな拍手が沸き起こり、
カメラのフラッシュが
そこかしこから焚かれた。
小夜子はといえば、
マッケンジーの指示により、
ステージ正面に陣取っていた。
正三は小夜子から離され、
立ち見に回っていた。
「どうしてこんな子が、
ここに居るのかしら?」
「どちらかの、
ご令嬢では?」
「でもそれにしては、
貧相なお洋服ですわよ。」
周りに座る淑女たちが、
訝しげに小夜子を見ている。
痛い視線を身に受けながら、
“早く呼んで!”と、
居たたまれぬ思いの小夜子だった。


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