昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第一部~(十)の八

2011-06-25 19:59:44 | 小説
まさに、戦争だった。
激しい怒鳴り声の中を、
ベルトコンベア上を押し出されるが如くに、
モデルたちが送り出される。
ステージに現れると
にこやかに笑みをふりまき、
戻ると
眉間にしわを寄せて
服を取り替える。
大きな溜息の中、
順調にショーは進んだ。
突然会場の灯りが暗くなり、
スポットライトが
一人の少女を浮き上がらせた。
「さぁてご来場の皆さま、
本日の特別ゲストの登場です。
ミィス、サヨコ嬢!」
マッケンジーの手が小夜子に差し出され、
ゆっくりと小夜子がステージに上がった。
しかし大きな落胆のため息が、
そこかしこから洩れた。
「なぁに、あれは。
田舎娘じゃない?」
「どういうことなの、
これは。
あんなやぼったい子が、
特別ゲスト?」
「では、
ミスサヨコ嬢の変貌をご期待ください!」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿