昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第二部~(二十一)の七と八

2011-10-30 16:57:27 | 小説


「社長、お流れを頂きにきました。」
服部、山田、そして竹田の三人が、武蔵の元にやってきた。
「おぉ、ご苦労だったな。
三人共、良く頑張ってくれた。
これからも、加藤専務を助けてやってくれよ。」
「勿論です!
専務同様、我々も、社長に惚れ込んでいますから。」
「社長の社員思いには、感激しました。
みんな、喜んでます。」
「中々できませんよ、実際。
社長と言えば、どこも威張り散らすだけですから。」
「おい、おい。これ以上は、何も出んぞ。
それより、お前らも早く繰り出せ。
ほれっ、あそこで待ってるじゃないか。
それとも気に入った芸者が居たら、番頭に話を付けてやるぞ。
専務に頼め、頼め。」
上機嫌で、武蔵は三人に盃を渡した。



「社長~!私たちにも、お流れぇ~!」
三人が立ち上がると同時に、女性社員がどっと押し寄せた。
「分かってるんだから。
社長が言い出しっぺでしょ、旅行は。」
「そうよ、そうよ。
渋ちんの専務が、言い出すわけないもん!」
「社長!いい加減に、所帯を持ってくださいな。
なんだったら、私はどう?」
「いゃだぁ!あんたなんか、だめよ。」
「そうよ、そうよ。」
一気にかまびすくなった座で、武蔵は唯苦笑いをするだけだった。


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