部屋の中はキチンと整理されていた。
ベッド横の壁には、この別荘を建ててくれた愛すべき祖父のいかめしい姿の額があり、
まるでこの狭い部屋の全てのものー空気でさえもーを、
支配するかの如くにで妙に大きく感じられた。
そのいかにも明治らしい
ー鹿鳴館時代にしばしば起きた、東洋と西洋の対立と調和をまざまざと感じさせる、
ちょんまげにタキシード姿。
まさに明治時代から今に至る道、この部屋の全てを支配した、主そのものであった。
その反対側の壁には、埋め込み式の棚に豪華なステレオがある。
そこより流れ出る現代の息吹きーそれへの反応は、
しばしば額の中の支配者の顔を、さらにいかめしくさせた。
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