昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第二部~(十五)の一

2011-09-02 21:07:37 | 小説

「お父さん、肩揉んであげるね。
そうそう、忘れてた。
謝礼ね、郵便為替にして貰ってるからね。
お父さん宛に届くから、郵便局まで受け取りに行ってね。
いいの、いいの。お父さんにあげるから。」
“やはりおかしい、こんな娘じゃなかった。”
「小夜子、向こうで何かあったか?」
意を決して口にした。
「別に何もなかったわよ。どうして?」
「いや、ちょっとな。
小夜子らしからぬことが、あるもんだからな。」
「アハハハ、そうかもね。
小夜子ね、大変貌をとげたの。
今の幸せにね、気付いたの。
アーシアのお陰。ほんとよ、ほんとによ。」
「うん、うん、そうかそうか。」
大きく頷く茂作翁に、
「今までごめんなさい。
我がままいっぱいの娘で、ごめんなさい。」と、涙ぐむ。
感極まった小夜子、茂作翁の背に突っ伏した。


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