昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十九)の八

2013-04-23 20:38:58 | 小説

(八)

「課長。
局長への報告、済ませてきました。」

乱雑に積み上げられた書類の陰から、くぐもった声が返ってきた。
小柄の五十を数える杉田課長で、正三に頼りきっている。

「ありがとう、ご苦労さんでした。
佐伯くんが行ってくれると助かるよ。

本来ならあたしがご説明に行くべきなんだが、質問をされると困っちゃってね。

結局、佐伯くんを呼ぶことになる。
で、局長のひと声で佐伯くんになった。
宜しく頼むよ。」

「課長、今晩の予定は大丈夫ですね。
ちょっと趣向を変えて、キャバレー辺りに繰り出そうかと思うんですが。
お嫌いですか、そういった場所は。」

小声で正三が確認をする。

“上司を手なづけるのも大事なことだ。
飲み食いをしっかりさせて、お前のシンパにしておけ。”
とは、源之助の厳命だ。


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