昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十九)の七

2013-04-22 20:20:14 | 小説

(七)

入省したての頃の正三ならば、こんな横柄な口の利き方はしなかった。
しかし今は、一段見下ろしての言葉遣いになっている。

「あぁ、あれね。
先月済んでる、入学許可証も届いているよ。

まぁ、籍を置くだけのことだし。
然も、二年間だけね。

僕も地方と言えど、大学は卒業しているんだからね。」

「ですよね、当然さ。
坊ちゃんが一時的にせよ、郵政省から離れるなんて、考えられないよ。
何しろ、電波行政のエキスパートなんだから。」

「そうだ、そうだよ。
二三年もすれば主査で、すぐに係長さまだ。

そして最年少の課長職、という道があるんだから。
しかし坊ちゃん、偉くなったからって、我々を忘れないでくださいよ。」

「さぁ、みんな。仕事、仕事!」
大声が響いた。

「おぉ、恐! 課長が怒ってるよ、また。
席に付こうっと。」


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