昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

心象風景  第三弾:【ある時の彼女】 (last)

2010-06-03 19:05:35 | 小説
(生えそろっていない歯)

この駅では、
この町では、
この日本では、
この社会では、
到底できうるものではない。

近づいてきた鉄道公安員に、
子どもを力無く渡した。
そして、
自分の首につり下げていたペンダントを、
その子どもの首にかけてやった。

もう子どもは泣かなかった、
彼女も泣かなかった。
しかし、
心の底から大きな声で叫びたかった。

子どもは、
まだ生えそろっていない歯を見せて去った。

彼女は、
列車の去った後のホームに立ちながらも、
満足感を覚えていた。 
‐‐‐‐‐‐‐
この後の彼女の行動は、
わかりません。
男の私には、
わからないのです。
どなたか教えて下さい、
この彼女の行く末を。

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