昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(八十一) ほんのりと赤みがさしている

2014-03-12 22:00:28 | 小説
(八)

「えぇっ! 小夜子さん、それは嫌よ。
お食事だったら、二人だけにしましょうよ。
それに、会社に行くだなんて。
あたし、恥ずかしいわ。困るわ、あたし」

透き通るような白い顔に、ほんのりと赤みがさしている。

「いいから、いいから」と、勝子を引っ張る小夜子だ。
勝子の腕を抱えるようにする小夜子、小鼻にしわを寄せて、小悪魔のように含み笑いを浮かべた。

「困るわ、困るわ、あたし。お仕事の邪魔になるでしょうに、きっと。
社長さまに知られたら、きっと勝利が叱られるわ。
いえ、勝利だけでなくて、小夜子さんも叱られるわ。
そんなの、あたし、どうしたらいいの。
勝利には『ごめんね』で済むけれど、小夜子さんにはどうすればいいの? 
だめよ、だめ。お家に帰りましょ、ね?」

「勝子さん。何をぶつぶつ言ってるの? もうすぐ着くんだから」


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