(七)
「大丈夫、大丈夫だって。武蔵は、大丈夫」
“ちょっと奮発しすぎたかしら?
『すっからかんだ!』なんて武蔵言ってたわね。
『全財産を使い切ったぞ!』って。
でも大丈夫よね、武蔵だもん。何とかしてくれるわよね”
さすがの小夜子も考えた。
しかしすぐに、己に都合よく話を作り上げた。
「ねえ、小夜子さん。もうあたし、十分。お家に帰りたいわ」
「あら、疲れたの? お熱でも出たかしら」
と、おでこに手を当ててみる。
“うーん。熱があるといえばあるし、ないといえばないし”
「疲れてはいないけど、でも…。なんだか、ちょっと。
気持ちが疲れたというか、人いきれがね、すごくて…」
お昼時になっていた、予定ではこれから昼食だ。
しかし散財させてしまった小夜子に、これ以上の負担をかけるにはいかないと、気兼ねし始めた勝子だ。
「気持ちの疲れなんて、吹っ飛ぶわよ。
それじゃ、富士商会に行きましょ。
みんなにね、勝子さんをお披露目するの。
それからね、お食事に行きましょ。
勿論竹田も一緒よ。
それから、服部と山田もね。
五人で食事しましょう」
「大丈夫、大丈夫だって。武蔵は、大丈夫」
“ちょっと奮発しすぎたかしら?
『すっからかんだ!』なんて武蔵言ってたわね。
『全財産を使い切ったぞ!』って。
でも大丈夫よね、武蔵だもん。何とかしてくれるわよね”
さすがの小夜子も考えた。
しかしすぐに、己に都合よく話を作り上げた。
「ねえ、小夜子さん。もうあたし、十分。お家に帰りたいわ」
「あら、疲れたの? お熱でも出たかしら」
と、おでこに手を当ててみる。
“うーん。熱があるといえばあるし、ないといえばないし”
「疲れてはいないけど、でも…。なんだか、ちょっと。
気持ちが疲れたというか、人いきれがね、すごくて…」
お昼時になっていた、予定ではこれから昼食だ。
しかし散財させてしまった小夜子に、これ以上の負担をかけるにはいかないと、気兼ねし始めた勝子だ。
「気持ちの疲れなんて、吹っ飛ぶわよ。
それじゃ、富士商会に行きましょ。
みんなにね、勝子さんをお披露目するの。
それからね、お食事に行きましょ。
勿論竹田も一緒よ。
それから、服部と山田もね。
五人で食事しましょう」
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