昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十八) 七) 大正男の大風呂敷が心配での

2013-10-24 19:19:13 | 小説
(七)

「あぁ、分かっとる。
わしもそう思い始めたところじゃ。

繁蔵兄さに、そう言おうと思っとる。
頼みに回った家々で話し込むと、まぁ色々文句のでることでること。

今の村長だって、それなりに頑張っとると言うのにじゃ。
自分の思うた通りに行かんからと言うて、あんな言い草はなかろうと思うわ。

それよりの、小夜子や。
わしはお前のことが心配での。

あの大正男の大風呂敷が心配での。
大変な額になるんじゃが、大丈夫なんか? 

今回限りじゃのうて、毎年のことぞ? 
そんなに金儲けができるのか?」

不安げな表情を見せる茂作に、きっぱりと小夜子が言い切った。

「心配ないって。商売の方は全然心配することないの。
あんな顔して、結構こわもてなんだから。

お父さんのこともね、『決して不自由はさせん』って約束してくれたし。
あたしにだって、今までと同じ、うぅん今まで以上の贅沢をさせてやるって言ってたから。
タケゾーはね、口にしたことはきっと守るから」


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