昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十)の三

2013-04-28 10:36:46 | 小説
(三)

津田の話に、慌てて山田と坂井の二人が止めた。

「その話はやめろ! 機嫌が悪くなっちまう。」

「終わったんだ、その女性とは。
お前、聞いてないのか!」

「性悪女だったんだよ、二股なんかかけたりする。」

しかし正三は、淡々とした口調で応じた。
まるで過去の女性であるかのように。


「小夜子さんのことか? 
あの人は、もう小夜子さんじゃない。

ぼくの知る小夜子さんは、新しい女性だった。
けれど今の小夜子さんは、まるで俗物だ。

物欲に憑かれた、哀れな女性さ。」

「なんだ、佐伯君。
失恋をしたのかね?よし、あたしに任せなさい。

伴侶は局長が見つけてくださるだろうから、
都合の良い女を見つけてあげよう。
キャバレーの女も、良いものだよ。」

「そりゃいい。
課長、グッド アイデアですよ。」
と、上本が得意の英語を披露した。


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