昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十)の四

2013-04-29 12:30:50 | 小説
(四)

と、すかさず小山がからむ。

「上よ! アイディイアと、イントネーションを強くしろよ。
それにドはないぞ、ドは。」

「ここは日本国だ。
アメリカ国じゃないんだ! 

日本のアクセントで良いんだ。
なあ、上ちゃん。」
珍しく正三が、他人をかばった。

いつもは泰然として、五三会の面々の話には割り込まない。
その正三が、今夜ははしゃぎ回っている。

顔を見合わせて、不思議がる面々の彼らを尻目に、
「さぁ、着いたぞ! キャバレー・ムーンライトだ。

ぼくの大事な、薫さまは居るかな。
八千草薫さまあ!」
と、杉田の声が界隈に響く。

「なんだなんだ、薫さまだ? 
ほんとに杉田課長なのか? 

あの仏頂面しか見せない、我らの上司の杉田課長かい?」
と、互いの顔を見やった。


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