昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十九)の三

2013-04-17 18:54:21 | 小説
(三)

「どうなすった、小夜子さん? 
まだ具合が悪かったかな? 

車酔いが収まってないかの。 
診療所に寄ってみるかの?」

「助役さん、そりゃないぞ。
往診させてくださいの。
大事な、村の宝なんじゃから。」

「どうする、小夜子。往診してもらうか?」
「うん……」
力なく、小夜子が答える。

「さ、小夜子、お前、まさか…」

茂作が飛び込んできた。
まさかとは思いつつも、懐妊という二文字が頭の中で飛び回り始めたのだ。

「なに、考えてるの!違うわよ、違う!」
手を振りながら、一笑に付す小夜子。

武蔵もまた、茂作の心配事に気付き、
「だと良いんですが、それはないでしょう。」
と、否定した。


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