(四)
ほっと安堵の表情を見せる茂作に、
「おめでた、ということか?」
と、繁蔵が覗き込む。
「だから、ないんです。」
と、キッと睨み付ける小夜子だ。
「もういい! 往診は、いらない!」
不機嫌に、吐き捨てるように小夜子が言った。
「おっと、いかんいかん。
それでは私はこれで。
今日中に戻らなければならんのです。
明日、約束があるものですから。
小夜子は、留まってもいいぞ。
二三日ゆっくりするか?」
「いや、一緒に帰る。
病気でもないのに、されちゃうわ!」
つい先ほどの優しい小夜子の声かけが、空しく茂作の耳に響く。
「分かった、分かった。今日はええ。」
“正三の馬鹿たれが。
あいつが小夜子を掴まえておれば、こんなことを言うことはない筈。
昔の優しい小夜子で居てくれるものをまったく役に立たぬ男じゃ。”
ほっと安堵の表情を見せる茂作に、
「おめでた、ということか?」
と、繁蔵が覗き込む。
「だから、ないんです。」
と、キッと睨み付ける小夜子だ。
「もういい! 往診は、いらない!」
不機嫌に、吐き捨てるように小夜子が言った。
「おっと、いかんいかん。
それでは私はこれで。
今日中に戻らなければならんのです。
明日、約束があるものですから。
小夜子は、留まってもいいぞ。
二三日ゆっくりするか?」
「いや、一緒に帰る。
病気でもないのに、されちゃうわ!」
つい先ほどの優しい小夜子の声かけが、空しく茂作の耳に響く。
「分かった、分かった。今日はええ。」
“正三の馬鹿たれが。
あいつが小夜子を掴まえておれば、こんなことを言うことはない筈。
昔の優しい小夜子で居てくれるものをまったく役に立たぬ男じゃ。”
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