「大学生活最後の年だったな。せっせと夏休みにアルバイトをして金を貯めたっけ。
殆どの学生は国内だと言うから、外国へと、しゃかりきに頑張ったんだ。
親が、”出してやるぞ”と言ってはくれたが。俺も蒼かった。
”自分の稼いだ金で行きたいんだ”なんて見栄を張ったりして。
しかし素晴らしい国だった、台湾は。
スケベ心から選んだ国だったが、あの緻密で繊細な象牙細工品は圧巻だった。
さすが、4,000年の歴史だ。料理にしても、こんな物まで食べられるのか? と驚かされたが。
もっとも女性の美しさには、もっと驚かされた。
チャイナドレスに包まれた身体、あのシルエットは今でも思い出す。
悩んだ末の選択だったが、やはりプロの女性で良かった。
学友は皆一様に、”処女が一番さ”と言うが、そんなことはない。
素晴らしいものだった。処女と童貞では様にならん。あの快感は味わえん。
処女はこれからでいい。じっくりと自分好みに仕上げられる歓びは、これからさ。
もっとも、中々チャンスに巡りあえないが。御手洗君にも、良い経験だろう」
呟くような井上の言葉に、ママの声がバスルームから届いた。
「な~に、何か言ったあ? 早くいらっしゃ~い!」
井上は、「はい、は~い!」と、服を脱ぐのももどかしげにバスルームに向かった。
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