(二十)
約束の七時少し前に、彼は喫茶”レストラン”に着いた。
郊外にある喫茶店で、夜はレストランに変身する店だった。
店内を見渡すと、奥まった席に貴子が居た。
「こっち、こっちよ」と、小声で呼んでいる。
七割程度の席が埋まっていたが、クラシック音楽のBGMが流れる中”カチャ、カチャ”とナイフとフォークの音だけが聞こえている。
「早いですね、待ちました?」
足早に歩きながら、”麗子さんとは大違いだ”と、そんなことを考えながら彼は貴子に声をかけた。
「そんなことないわ。私も今、来たところ」、微笑みかけながら答えた。
「素敵な所でしょ、私のお気に入りのお店なの。そしてこの席が、私の指定席。どう? 壁の灯りが素敵でしょう」
エンジ色のクロスに、淡いオレンジ系色が当たっている。落ち着いた雰囲気が貴子のお気に入りだった。
テーブルには、一輪挿しの花が置かれていた。燭台のロウソクも雰囲気を醸し出している。
「大丈夫なんですか? 何だか、高そうなお店だけど」
彼は恐る恐る貴子に尋ねた。”ステーキが食べたい。”等と、冗談まじりに言ったことが気になった。
「うふふふ、大丈夫。このお店、お安いの。昼間は喫茶店でね、夜だけレストランになるの。
だから、お店の名前が”レストラン”なの。面白いでしょ。お友達に教えて貰ったの」
いかにも嬉しそうに話す貴子に、彼はデパートでの貴子とは違った面を見た。
制服姿の貴子とはうってかわって、可愛らしいワンピース姿の貴子は紛れもなく二十歳の女性だった。
約束の七時少し前に、彼は喫茶”レストラン”に着いた。
郊外にある喫茶店で、夜はレストランに変身する店だった。
店内を見渡すと、奥まった席に貴子が居た。
「こっち、こっちよ」と、小声で呼んでいる。
七割程度の席が埋まっていたが、クラシック音楽のBGMが流れる中”カチャ、カチャ”とナイフとフォークの音だけが聞こえている。
「早いですね、待ちました?」
足早に歩きながら、”麗子さんとは大違いだ”と、そんなことを考えながら彼は貴子に声をかけた。
「そんなことないわ。私も今、来たところ」、微笑みかけながら答えた。
「素敵な所でしょ、私のお気に入りのお店なの。そしてこの席が、私の指定席。どう? 壁の灯りが素敵でしょう」
エンジ色のクロスに、淡いオレンジ系色が当たっている。落ち着いた雰囲気が貴子のお気に入りだった。
テーブルには、一輪挿しの花が置かれていた。燭台のロウソクも雰囲気を醸し出している。
「大丈夫なんですか? 何だか、高そうなお店だけど」
彼は恐る恐る貴子に尋ねた。”ステーキが食べたい。”等と、冗談まじりに言ったことが気になった。
「うふふふ、大丈夫。このお店、お安いの。昼間は喫茶店でね、夜だけレストランになるの。
だから、お店の名前が”レストラン”なの。面白いでしょ。お友達に教えて貰ったの」
いかにも嬉しそうに話す貴子に、彼はデパートでの貴子とは違った面を見た。
制服姿の貴子とはうってかわって、可愛らしいワンピース姿の貴子は紛れもなく二十歳の女性だった。
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