昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

ムサシ・ひとり 五

2010-10-01 21:55:17 | 小説
『ヤブレタリイ、コジロー!』

およそ人の声とは思えぬその怒声に、
一瞬、
小次郎はたじろいだ。

小次郎の長剣よりも長いムサシの櫂。
一瞬間、
小次郎の視界からムサシと共に消えた。

剣の天分に関しては、
小次郎の足下にも及ばないムサシを
見失った小次郎。

今、
焦りと不安の色を隠せない。

小次郎の顔は蒼白となり、
目は焦点を失った。

小次郎の天分の象徴ともいうべき長剣。
ムサシの忌まわしい一言で、
秘太刀「燕返し」を忘れた。

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