昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

ブルー・はんたぁ ~蒼い情愛~ (一)

2010-04-04 12:38:16 | 小説
死刑囚は死への恐怖心が薄れるにつれ、
生ある時を思い起こした。

己の罪を意識し、
悔いた。

しかしその悔いは事件に対する悔いではなく、
己の過去と未来を悔いたものだった。

「死刑に処する。」

冷たく事務的なこのひと言は、
死刑囚には何の意味も持たなかった。

それどころか、
人を殺したことへの後悔の念を跡形もなく捨てさせた。

鼠が食べ残したチーズひと欠片ほどの反省心さえも、
捨てさせた。


(over the 「てん・てん」)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿