昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[ライフ!] ボク、みつけたよ! (二十一)でもですね。 

2025-01-23 08:00:13 | 物語り

 でもですね。今回、みなおしたというか、「アホだったんだボクは」と思い知らされました。
♪ブン、ブン、ブン、ブン♪ と、お腹にひびく音が流れだしたんですよ。
ウッドバス。地味な楽器ですよね、図体だけはデカいんですけど。
デンと、まさしくドテッと大地に根を下ろした大木――オランウータン…みたいな。
主役ではないけれど、そこに居る――在るだけで、圧倒的な存在感を示している。
よくよく見ると愛嬌のある顔をしてません? 

 本来は弓をつかっての演奏につかわれるものでしょうが、弦を指ではじく奏法(ピッツィカート)で行われ、ポピュラー音楽ではこちらが一般的らしいです。
当然この場では、指で弦を弾く奏法でした。
というよりは、わたしは、まったく違う楽器だと思っていました。
はずかしいぃぃ! 
ドラム演奏の興奮冷めやらぬ中、♪ぶんブンぶんブンぶんぶぶんブンブン♪と、強弱高低差のついた音が流れはじめました。

 もう、世界が変わったと言っても過言じゃなかったです。
なんというか、引き締まったというか、もっと強く言えばホンモノになった。
浮ついていたものがどっしりと地に足がついた観なんですよね。
いちれつに並んで聞こえていた音が――お行儀良くしていた音が、奥行きができてそしてあちこちに花が咲きはじめたんです。

 ピアノがポンポンポンと飛びはねて、クラリネットが空を泳ぎだすんです。
そうしたらギターがそんな空気を激しくかき回しはじめて、ドラムがドカンドカンと大砲を撃ちだして。
そんな収拾が付かなくなりそうなここを、ウッドバスがしっかりとつなぎ止めるんです。
おまえたちの居場所はここだとばかりに、大地を踏みならすんです。

――・――・――
(二十一)の2

 そう言えば、TOKIOの長瀬くんでしたっけ。
「ベースが代わったら、もうTOKIOの音楽じゃない」と言っていたのは。
その真意が、やっと分かりました。

 1時間半というみじかい時間でしたが、至福のじかんでした。
はじめて感じる「音楽にひたれた時間・空間そして五感」でした。
こころがゆさぶられるものでした。
ハワイに来て良かった。いまさらジャズなんて、と諦めないで良かった。
もう、最高、さいこう、サイコー!! 
「明日が来なくてもいい!」。思わず、そう思っちゃいました。

 でもその夜、ベッドにはいって思ったことは、「アシタは、憧れのムスタングだぞ!」。
そうなんです、明日はレンタカーで、マスタング(mustabg=日本での発売時には、日本語読みでムスタングでした)を走らせるんです。
しかも、オープンカーで。

「明日が来なくてもいい!」。なんて叫んだのは、一体なんだったんでしょう。
さらに言えば、この後もまた口にするかもしれません。
そういう男なんです、わたしは。
感動屋なんです、よく言えば。
悪く言えば、……いや、これは勘弁してください。



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