(五)
慌てて看護婦を呼びに行きかける勝利に、勝子が快活に言った。
「ごめん、ごめん。恥ずかしくなっちゃって。
あたし、恋をすることに決めたわ。お嫁さんになれなくてもいい。
分かってる、分かってる。
あたしの体だもの、お嫁には行けないってことぐらいは。
黙って、いいの。殿方とね、一緒に映画を観るの。
そしてお食事をして、それから少しお酒を頂いて。
いいじゃない、少しぐらいなら。ひと口だけでも、飲んでみたいわ。
えぇえぇ、どうせすぐに真っ赤になりますよーだ。
ほんのり桜色も、どう色っぽいんじゃない。ねえ、そう思わない。
服部君と山田君のどっちだって? ふふ、だめ。
二人とも、お金持ちじゃないから」
キラキラと瞳を輝かせて、空を見つめる勝子だ。
小夜子と勝利が、勝子の話に合わせて言う。
「そうね、そうよね。また、お出かけしましょうね。
美味しいもの、食べましょうね。あ、あたしじゃないのね。
未来の旦那さまとご一緒なのね。はいはい、分かりました。
武蔵に頼んでおくわ、素敵な殿方をご紹介してあげてって。
服部や山田には可哀相だけど」
「そいつは困ったぞ。二人には、なんて言えばいい?
もう明日にでも、病院に押しかけてくるかもだぜ。
ぼく、二人に恨まれちゃうよ。いや、二人に袋叩きに合うかも。
その時は、姉さんの隣にベッドを用意してもらおうかな?」
「いやあよ、そんなの。弟が居るようじゃ、殿方たちに寄って来てもらえないでしょ」
白い部屋に、明るい笑いが響きつづけた。
慌てて看護婦を呼びに行きかける勝利に、勝子が快活に言った。
「ごめん、ごめん。恥ずかしくなっちゃって。
あたし、恋をすることに決めたわ。お嫁さんになれなくてもいい。
分かってる、分かってる。
あたしの体だもの、お嫁には行けないってことぐらいは。
黙って、いいの。殿方とね、一緒に映画を観るの。
そしてお食事をして、それから少しお酒を頂いて。
いいじゃない、少しぐらいなら。ひと口だけでも、飲んでみたいわ。
えぇえぇ、どうせすぐに真っ赤になりますよーだ。
ほんのり桜色も、どう色っぽいんじゃない。ねえ、そう思わない。
服部君と山田君のどっちだって? ふふ、だめ。
二人とも、お金持ちじゃないから」
キラキラと瞳を輝かせて、空を見つめる勝子だ。
小夜子と勝利が、勝子の話に合わせて言う。
「そうね、そうよね。また、お出かけしましょうね。
美味しいもの、食べましょうね。あ、あたしじゃないのね。
未来の旦那さまとご一緒なのね。はいはい、分かりました。
武蔵に頼んでおくわ、素敵な殿方をご紹介してあげてって。
服部や山田には可哀相だけど」
「そいつは困ったぞ。二人には、なんて言えばいい?
もう明日にでも、病院に押しかけてくるかもだぜ。
ぼく、二人に恨まれちゃうよ。いや、二人に袋叩きに合うかも。
その時は、姉さんの隣にベッドを用意してもらおうかな?」
「いやあよ、そんなの。弟が居るようじゃ、殿方たちに寄って来てもらえないでしょ」
白い部屋に、明るい笑いが響きつづけた。
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