昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(八十四) 拳を握り締めて力説した

2014-04-17 20:17:40 | 小説
(六)

固い決意を示すが如くに、ぐっと拳を握り締めて力説した。

「服部、半値で仕切れ。いや待て、値引きはいかんな。
元の値に戻すのが難しくなる。

うん、そうだ。おまけを付けてやれ。
同数の商品をおまけすると言え。実質半値だ。

いいか、半値で仕切れと言われても、絶対だめだ。
後々の商売がやりにくくなる。

今の売掛分についてもな、同数の商品をおまけするとな。
但しだ、条件を付けろ。

一品目でも、わずか一個でも、他社の商品を見つけたら、即品物を引き上げるとな。
で、取引停止だと。」

ざわつく声を、強い口調で抑え付ける。

「いいか、徹底しろよ。一品目ぐらいとか、一個だけならとか、絶対見逃すな。
それから、富士商会で取り扱っていない商品だからなんてふざけたことは言わせるな。

同じ物を必ず納入すると言ってやれ。
赤字になっても構わん。

他の店から買ってでも、納入しろ。
それから仕入先を探せばいいんだ。

いいか、絶対に恩情なんか見せるな。徹底的にやるんだ。
他の者も、妙な動きをする業者が居たら、すぐに専務に報告しろ。
すぐ対応してやる。間髪入れずだ、これが大事だぞ。

えぇい、まどろっこしい。
事前の報告は要らん。事後報告でいい。

即断即決だ、営業のお前たちの判断に任せる。
間違いだったとしても、構わん」


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