(七)
「し、社長。それはちょっと、どうかと。やはり確認を取ってからでないと」
と、五平が色をなして押し止める。
しかし、武蔵は頑として譲らない。慌てて、別室へ武蔵を引っ張り込んで協議を始めた。
取り残された社員たちの間には、動揺が走った。
「どういうことだ? 社長のあの剣幕、只事じゃないぜ」
「服部くん。どうなの、ほんとのところは。
そんなに目くじらを立てるほどのことなの?」
「いや。それが大げさなような気もするんだ。
大した品目数でもないし、金額的にも…」
服部を取り囲んで、皆が真剣に話を聞いている。
今のところ服部だけなのである、当事者であるのは。
「服部くん。それは、甘いんじやないか?
堤防だって、蟻の一穴から崩れるなんて言うしさ。
言ってたじゃないか、嫌な予感がしたって」
と竹田が、噛み付いた。
「おいおい、竹田。お前、まさか。俺が言ったことを、そのまま伝えたのか?
あれはちょっと大げさに言ったんだぞ。
俺のそうした癖は、知ってるだろうが。
うわあ、こりゃ、専務に叱られるぞ。まいったな、もう。竹田、恨むぞ」
「し、社長。それはちょっと、どうかと。やはり確認を取ってからでないと」
と、五平が色をなして押し止める。
しかし、武蔵は頑として譲らない。慌てて、別室へ武蔵を引っ張り込んで協議を始めた。
取り残された社員たちの間には、動揺が走った。
「どういうことだ? 社長のあの剣幕、只事じゃないぜ」
「服部くん。どうなの、ほんとのところは。
そんなに目くじらを立てるほどのことなの?」
「いや。それが大げさなような気もするんだ。
大した品目数でもないし、金額的にも…」
服部を取り囲んで、皆が真剣に話を聞いている。
今のところ服部だけなのである、当事者であるのは。
「服部くん。それは、甘いんじやないか?
堤防だって、蟻の一穴から崩れるなんて言うしさ。
言ってたじゃないか、嫌な予感がしたって」
と竹田が、噛み付いた。
「おいおい、竹田。お前、まさか。俺が言ったことを、そのまま伝えたのか?
あれはちょっと大げさに言ったんだぞ。
俺のそうした癖は、知ってるだろうが。
うわあ、こりゃ、専務に叱られるぞ。まいったな、もう。竹田、恨むぞ」
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