昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

心象風景  第三弾:【ある時の彼女】 (二)

2010-05-17 22:47:28 | 小説
(走る女)

彼女はプラットホームを走った。

手には、
ハンドバッグ一つ。

エルメスとかいうブランド品で、
彼女の夫からの、
プロポーズ前の贈り物の一つである。

行き交う人も慌ただしいが、
彼女も慌ただしく、
ハイヒールの音も高らかに走る。

彼女は、
すれ違う人々に少しの敵意の目を見ながら、
感じながら走る。

彼女の感情はそれほどに研ぎすまされ、
又痛々しいほどの圧迫を受けていた。

もうこれ以上痛められそうもないない程に、
精神的にまいっていた。

(どうぞ、
考えうる最高の精神的ショックを考えて下さい。)

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