ほのかの泣き声が大きく家中に響いた。
ほのかはチラリと布団の中の祖母を見るだけで、後ずさりしてしまう。
道子が
「あなたの大好きなお婆ちゃんよ。お別れを言いましょうね。待ってるのよ、お婆ちゃんは」
と諭すのだが、いやいやと首を振る。
道子に引きずられるように隣の部屋から入ってきたが、火の付いた赤児のように泣き叫んでいる。
「どうしたのかしら、この子は。おばあちゃんっ子だったのに」
母親の道子が、集まった親戚連の冷たい視線を受けて、夫の孝男にこぼした。
孝男は、ムッとした表情を見せつつ
「婆ちゃんっ子だからこそ、ショックから立ち直れないんだ。明日、最後の別れをさせてやればいいじゃないか!」
と、声を荒げた。
不満の声が一部あがりはしたが、孝道の「ま、そういうことだな。道子さん。ほのかには、あんたから言い聞かせなさい」という言葉で、場が収まった。
シゲ子が、ことのほか可愛がっていたほのかだ。
できればシゲ子に声をかけさせたいと思う孝道だったが、尋常ではない怯え方を見せるほのかに、心の傷を残すことだけは避けなければならない。
シゲ子もまたそう思っているだろうと考える孝道だった。
まだ小学四年生なのだ。
しかも甘やかされて育ったほのかだ、少しの幼児性が残っているのだろうと考える孝道だ。
人間の死というものがどんなものなのか、何ひとつ分かっていないだろう。
恐がるほのかを責めることはできないと考える孝道だった。
ほのかはチラリと布団の中の祖母を見るだけで、後ずさりしてしまう。
道子が
「あなたの大好きなお婆ちゃんよ。お別れを言いましょうね。待ってるのよ、お婆ちゃんは」
と諭すのだが、いやいやと首を振る。
道子に引きずられるように隣の部屋から入ってきたが、火の付いた赤児のように泣き叫んでいる。
「どうしたのかしら、この子は。おばあちゃんっ子だったのに」
母親の道子が、集まった親戚連の冷たい視線を受けて、夫の孝男にこぼした。
孝男は、ムッとした表情を見せつつ
「婆ちゃんっ子だからこそ、ショックから立ち直れないんだ。明日、最後の別れをさせてやればいいじゃないか!」
と、声を荒げた。
不満の声が一部あがりはしたが、孝道の「ま、そういうことだな。道子さん。ほのかには、あんたから言い聞かせなさい」という言葉で、場が収まった。
シゲ子が、ことのほか可愛がっていたほのかだ。
できればシゲ子に声をかけさせたいと思う孝道だったが、尋常ではない怯え方を見せるほのかに、心の傷を残すことだけは避けなければならない。
シゲ子もまたそう思っているだろうと考える孝道だった。
まだ小学四年生なのだ。
しかも甘やかされて育ったほのかだ、少しの幼児性が残っているのだろうと考える孝道だ。
人間の死というものがどんなものなのか、何ひとつ分かっていないだろう。
恐がるほのかを責めることはできないと考える孝道だった。
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